2011年02月24日

ドリブルと1対1

 サッカーは非常に難しい球技で、例えば、ボールを投げる時は目標を見て投げる。手に持ったボールは見ないが、サッカーは蹴る直前に目標を狙っておいて、蹴る時は目標を見ないでボールを見て蹴るのだから、なかなか命中しない。おまけに試合は敵に邪魔されるために急いでミスしたりするので、サッカーはミスの多いスポーツだと言われている。
 接近戦や1:1、そこからシュートするような時は、一瞬を争うので、独特の直感ないし直感で身体が反射的に活動して、なかば夢中でプレーしなければならないことが多い。
 むろん経験知や創造力、身につけ磨き強化してきたスキルなどが基盤になっているのだが、こうし能力の瞬間的発揮は現代人の日常生活に殆ど必要のない動物的なものだから、年長や大人になってから練習を始めたのでは、子供の頃に始めて続けてきた選手のようにはいかない。
 何事でも子供からの先取り教育がいいに決まっているが、特にサッカーは脳が発達する幼少からプレーして、いわばサッカー頭脳に成長させサッカー用の神経回路を作り発達させていかないと、ほんもののサッカー選手にはなれない。ドリブルや1:1のスキルは代表的なものだろう。

[ドリブルは悪いサッカー!]
 昭和50年頃、枚方FCはドリブルが上手いと有名だったが、別段勝つためとかドリブルサッカーを志したわけではなかった。以前から日本選手はドリブルや個人技が下手なのに、欧米選手はドリブルが上手で1:1が強いから見事なサッカーが出来るのを見て、我々日本もやるからにはもっと面白いサッカーができるようになりたい。それには日本の子供たちが皆ドリブルが80点くらいになり敵を一人くらい抜けるようになって、その上でパスを使えるようになるといい、と考えていたからである。
 だが当時、日本の少年サッカー界は、サッカーはチームスポーツだから個人プレーはよくないと行ってドリブルを目の仇にして、選手にドリブルなど間違った悪いサッカーをするな、と教える指導者が多く、私は異端者で敵視された。それでよそがあまりドリブルを練習しないで下手だった為に、枚方が一層上手く見えて評判になったわけである。
 練習日には必ずドリブルといろんな1対1をやったので子供たちはサッカー大好きになり上達した。年少でまだ守備力が弱いのも好都合であった。
 年長になるにつれて守備力は強くなり、子供の頃のように相手に抜かれなくなるのでそうはいかなくなる。チームの攻撃もドリブルを減らし1対1を避けてパス主体になる。だが、それでドリブルや1:1の練習など無駄というのは間違いだ。
 というのはユースでも大人でも、球際やシュート圏では1対1の勝負になることが多いので、矢張り1対1の戦闘力は重要不可欠で、これは短期間で力がつくものではなく、幼少から身に付け磨いてきた感覚、技能が必ずそこでものを言うからである。
 それに1対1に自信があれば、万事に余裕ができて良いプレーが出来る。欧米と違って幼少からそれを身につけてこなかった従来の日本選手はこの自信がない為にミスしやすい。

[前もって考えておこう!]
 少し上達したら、前方の敵味方を見て襲って来そうな敵を予想し、敵と1対1になる時も、彼を抜いたらカバー役の敵が来るとか、大きくかわすと2人目にぶつかるといった事を計算に入れてドリブルして、抜き方、避け方を考え工夫するべきである。当然コース変更やパスすることも出来る。
◎ リベロの名手ベッケンバウアーはドリブルで上がっていくとき、斜め前から襲って来ようとする敵がいると、自分から方向を変えて向かって行きそうにして、相手が向かえ撃とうと立ち止まった瞬間、身を翻し元どおり直進して見事に相手を振り切ったものだ。
◎ 外国人は、日本選手は何故わざわざ待ち受けている敵を目がけて行くのか?スペースや敵と敵の隙間、相手の横にドリブルして行けばいいのに、と言う。敵の正面でなく横をつけば相手が動くので、抜いたりシュートするチャンスができるかも知れない。

[目的に応じたドリブルを]
 試合ではドリブルからパスしたり、始めからパスする為にドリブルしたりする事が多い。その場合、侵入してのセンタリングや、わざと敵を引きつける為でなければ、1:1やキープにこだわらないで、早めにパスする方がよい。ドリブルが長くなると、敵がパスを読み易くなり、守りを固めるからだ。
◇攻撃側の選手は、突破する為に相手を抜こう、よけてパス、かわしてシュートしてやろう、持ち込んでセンタリングだ、という具合に目的を持って1対1をやるので、抜き方、かわし方は状況や目的、アイディアによって違ってくる。
 特にシュートはその直前でなく、かなり前から得点してやろうと狙ってないとできないものだ。前もって、シュート出来なくなった場合にやるラストパスなど、2番目のプレーを考え用意しておく事も必要で、シュート得点が無理になったらそれに切り替えればよい。

[1:1はマイボール、味方ボールで終われ!]
 1対1を仕掛ける時、敵を抜けるかどうかの判断、見極めが大切で、無理すると大抵失敗する。上手いプロは抜ける時にしか抜かない。抜けなくても横にかわすか、ずれるだけでシュートやパスが出来る事があるし、後退して敵から離れてやり直してもいい。無論バックパスしてもよいのだから、闘志も強気もいいが、抜く事にこだわって失敗しないように柔軟、冷静に、粘り強くやることだ!
◇ 1対1でボールを取られそうになったら、相手とボールの間に身体を入れスクリーンしてキープし、周りを見てパスするか、ドリブルで相手から離れる。ボールを奪われたらすぐ取り返す。普段からこうなったらこうすると一連のプレーを用意しておこう!
◎ 但し幼少時代はまだそれは望めない。どんどん1対1をやって技能を磨き勝つコツを覚えて力をつけよう。経験を積むうちに、抜けるか無理かの判断もできるようになる。

☆ ブラジルのコーチが(留学中)の三浦和良少年に言った、「相手が大きかろうが何だろうが、向かって行け!お前がドリブルで勝負すれば、怖がるのは相手だ!」

[注意点]
1. 接近の仕方にはドリブルで真っすぐ突っかけるのと、遠目から踏み変えや身体をゆらせたり緩急をつけ方向を変えそうにしたりフェイントを入れたりリズミカルにドリブルして近づくのとある。接近しすぎて間合いが近くなり過ぎないように注意!
2. 接近しながら相手を見る事が大切で、抜き方、かわし方、フェイントを考えてボールを足元か少し前に置いて、相手にタックルされても咄嗟にかわせるように警戒する。
3. 止まりかけはいいが、相手の前で完全停止しては駄目!その時はパスに切り換える。
4. 相手が正面だと、敵をずらせるか、自分がずれてかわす為に、適切な間合いでフェイントを相手をおどかすように大きくかけるか、素早く逆をつくようにかけて、相手の動き、反応をみて、相手が重心がかかって動けない、足が出ない瞬間を感知して、素早くかわすか抜く。ボールタッチから次のタッチまでの時間が短いほどよい。かわしがら全速力で抜きされ!
♯間合いは少し遠目が安全!特に、荒っぽく激しい素早い相手、深くタックルしてくる敵には遠目で、動作を全て機敏に速く!近づきすぎたらボールを引いて離れる。
◎ 往年の名手、金田は、抜くには逆をとるか、先手をとることだと言った。その為にいろいろフェイントするのだが、要は、相手がタックル出来ない、足を出せない瞬間に、タックルして来ても足が届かない所を通過すればいいわけだ。
◎ それを感知して抜いたのがマラドーナで、敵が、さあ、これから1:1だと向かってくる前に、タイミングとコースの僅かなずれだけで快速で通過してしまった。
◎ ロナウジーニョは犬と遊んでボールを捕られないように練習して名手になった。

[練習法]
基本練習とゴールありの実践的練習。フィールドの広さは年齢に応じて。
37 3人組んで交代で四角の中で1対1。自分のコーナー2つと相手のコーナー2つがゴールの代わりで、相手のコーナーにボールを止めたら得点。
38(A)大きくHという字を地面に書く。2〜4mの横線を境に向かい合ってボール無し   で1対1。先攻、攻守を決めて3回で交代。攻撃側はフェイントして相手陣地内に走り込んだら得点。守備側は正面に立ち塞がるか、ショルダーチャージで入れないように防ぐ。
38(B)攻撃側は後ろ向き、守備側は背後からマークで開始。
38(C)ボールを使って1対1。
39(A)小ゴール2、キックオフから1対1。
39(B)双方のゴールラインからスタート、コーチが中央横からボールを出して1対1。
39(C)中央横からスタート、一方のゴールラインからボールを出して。
40(A)小ゴール2、Aは2m前に立つBの頭上を越えるボールを投げてから1対1。
40(B)AはBの股間にボールを通して、Bはボールが通ってから反転し追いかけて1対1。Aは追いかけてくるBの前に入って、BがAを追い越せないようにドリブルする。
41 ハーフラインからゴールまでを3ゾーンに分けて各ゾーン内を一人づつ守る。攻撃側は一人でドリブルして相手を抜いて行ってシュート。大ゴールの場合はキーパーが守る。
42(A)小ゴールとキーパーありの大ゴール。ハーフラインで向かい合ったウイング対サイドバックがスタート。中央や反対側からコーチがバックの後方にボールを出して1対1。
42(B)中央で後退したセンターバックに対してタッチライン中央沿いのウイング、コーチが両者の間に斜めにボールを出して1対1。
42(C)ハーフラインのセンターフォワードに対して、向かって左に開いて後退した右サイドバック、ハーフラインの左端から中央前にボールを出して1対1。右端からも出して。同様に左サイドバックも。
43 ペナルティーエレアの少し外のいろんな場所や位置、状況で、いろんな方向から来るボールで攻守の1対1。コーチがボールを出す。パス練習として選手が出してもよい。
 ♯いろんな相手とやるのがよい。オールラウンドの感覚、スキルを身につける為に、年少ほどいろんなポジション、攻守両方をやるべきである。
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2011年01月24日

自由自在のドリブルを

ドリブルは、初心者のように夢中でボールを蹴って追いかけるのから、ボールコントロールの効いた突進、状況に応じてスピードを落とした曲折など、各人各様で、以前称賛された終始ボールが足に吸い付いているようなドリブルは古き良き時代の名人芸になった。
だがいくらスピードアップしても、ドリブルで疾走すると大抵すぐに敵が迫ってくるので、ボールに素早く追いつき、パスしないのなら、スピードやフェイントで敵を抜くか、タックルをかわすか、キープするか、意のままに緩急をつけ方向を変え自由自在に動かせる巧妙なボールコントロールはやはり必要不可欠である。
ボールは一寸触れるだけでも意外によく転がる。走る速度を上げるにつれてコントロールが難しくなるので、ボールと程よく一体になってドリブルするには、ボールを足だけで操るのでなく、適度に膝を曲げ腰を低くして身体全体でボールを動かすようにして、ボールの動きに合わせて離れないように行動しなければならない。
ボール扱いの技術は身体で覚えるしかないのだが、特に自然に身体が動いてボールと一体になってドリブル出来るようになるには年季がいる。幼少から絶えずボールに馴染んで長い年月練習して、あまりボールを見なくてもドリブル出来るくらいになって欲しい。ドリブルの名手たちは皆そうして上手くなったのである。

[極力、周りを見よう!]
 だがドリブル出来ても周りが見えないとか頭脳が働かない選手はチームの為になる良い仕事はできない。それにドリブル中は自然に楽に周りが見える事はないので、いろんな方法で前や周りを見る習慣を身につけなければならない。

1. 意思!ボールばかり見ないで、周りや必要なものを見ようと絶えず努力せよ!

2. ルックアップ!ボールタッチしたら、すぐさま顔を上げて前方や周りを見る癖をつけよう!安全な時は少し前方にボールを置くと見やすくなる。

3. 姿勢!そして俯かないで、顔をあげ上体を起こし前傾した良い姿勢で!

4. 間接視!3m 前を見て、ボールと前方を同時に視野に入れながらドリブルしよう!

5. ドリブル中、安全な時、楽な余裕のある時があれば必ず見ておけ!


[練習法]
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(A)まっすぐに30m ドリブル。
始めはゆっくりドリブルして、慣れたら次第に速く。ボールを蹴って追いかけてばかりでなく、ボールと一緒に走るにはどうしたらよいか?ボールタッチの仕方、強さとボールが転がる速さ、自分の走る速さと走り方、両者の調節、調和などを研究工夫すること。
例えば4、5 歩目にボールタッチと決めて、ゆっくりから少しずつ走るスピードを上げてみる。蹴るのではなく、ボールを押す。ボールを運ぶ、持っていくという気持ちも必要だ。

(B)全速力ドリブルシュートでルックアップを習慣づけ!
ボールタッチするたびに素早く顔を上げてゴールを見て、ペナルティエレアにかかる辺りで狙いを定めてシュート。
シュートに入る前のドリブルの最後のボールタッチはその準備だから、ボールに軽く触れてシュートしやすい所へ転がすだけ!そして必ずボールを見て狙いを定めて、2、3 歩から数歩で足を合わせて、転がって行くボールより少し向こうに踏み込んでシュート。
敵をかわしてボールを横にやや大きく1.5m 以上動かした時は、横這いなのでボールを追い越せ
ないから、素早く回り込んで必ずゴールを見て狙ってシュートする。

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(A)ジグザグドリブル。
棒やコーンを5 本、縦に1〜2m おきに立ててその間を縫ってドリブルで往復。身体をリズミカルにボールよりも外側へ大きく動かし、最初両足で、2 回目は右足だけで、3 回目左足、4 回目両足のアウトサイドだけで、5 回目ボールを引いてバック。良い姿勢で顔をあげ3m 前を見て間接視!いろいろ研究工夫すること。

(B)他に、ボールタッチの多い小刻みなドリブル、スピードを上げ急角度で曲がるやや大きいドリブル、ただ隙間を通り抜けるのでなく、障害物を敵に見立てて適切な間合いをとりフェイントを入れたり、外や内へホールをまたぐドリブルなども練習。
※ 幅のある高い障害物が良い。小さいのはまたぐから駄目!並べ方は変えてもよい。

(C)身のこなしを敏捷にする為に隙間を狭く70cm 以内にして、ボールなしでジグザグに素早く走り抜ける。フェイントを入れたり、ドリブルしてもいい。

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(A)A 組、B 組が年齢に応じて3、40m 離れて向かい合う。A の選手はB に向かってドリブル、時々後ろ向きになって2、3 回ボールを引いてバックするのを入れる。5m 行ったら次の選手がスタート、B 組に着いたらその後ろにつく。B 組の選手は次々にやってくるA の選手をフェイントしてかわしてドリブルしてA 組の後ろにつく。

(B)他に、A は途中で5 回くらい停止、ボールを引いたり、円を描いたりする。

(C)A もB もやってくる相手に向かってドリブルしていって衝突直前にかわすなど。

30 直径3m の円2 つから成る8 の字を描くようにドリブル。両足で、右だけで、左だけで、インサイドだけで、アウトだけでと指定。

31 四角の中で数人がぶつからないようにドリブル。止まらないで絶えず動け。上手くなったら人のボールを蹴りだしたり、一人妨害役が入ってボールを蹴り出したりする。

32 数m ドリブルしてターンを繰り返す。ターンに使う足を左右、足の裏、インサイド、アウトと指定。
ボールを止めてから向き直るのでなく、一動作で止めながら向き直れ!

33(A)ドリブル前進で時々急停止。止まると見せて走る。方向を変える。変えると見せて直進。半分ターンから反転して元通りに。ボール無しで動きを練習するのも良い。

(B)軽く妨害する相手をつけて行う。相手役は上手いフェイントにはかかってやれ。

34 ダンゴを丸めるようにボールをこねて転がしてドリブル。前進、横這い、ジグザグ。

35 殆どボールを見ないで両足の間でボールを速く往復させながら前進、後退、横這い。

36 ボールを見ないでドリブル。方向変え、ジグザグなど。ゆっくりから始める。


[試合中、どんな時にドリブルするべきか?]
1 スペースがあるか、コースが空いていて、ドリブルすれば突破、シュート、チャンスを作りを狙える時。
※ その時でも、周りや前方を見て、突破、得点できそうな味方がいたら、自分がドリブルするか、彼にパスするか、チームの為に成功率の高い方を選ばねばならない。

2 自分が妨害されてパス出来ない時。

3 パスを受けられるフリーな味方がいない時。
※ フリーな味方がいても下手か、彼より自分の方が良い位置で、パスしても効果が期待出来ない場合は、ドリブルしてもっと良い味方が現れるか状況が変わるのを待つ事がある。
※ マークされた味方でも、彼が上手ければ速いパスを送れば受けられる。壁パスの壁も出来るので利用するとよい。


[戦術、戦法として]
通常、年長になるとボールを盛んに動かす方が試合運びが良いのでパス主体になる。ドリブル向きのコースやスペースがなければパスが原則だが例外もあり、特に敵の最終守備陣に対しては、次のように敢えてドリブルをする事がよくある。

1 僅かな隙を見つけて、(時には隙がなくても)ドリブルであわよくば突破、シュートしようと試みたり、敵陣に変化を起こしてチャンスのきっかけ、糸口を作ろうとする。

2 ドリブルで相手を一人2人引きつけて敵陣を手薄にしてパスを送ろうとする。

3 ドリブルしたあとにスペースを作って味方に利用させるなど。


[各地域でのドリブルの可否?]
ピッチを三分し自陣(味方ゴール前の守備ゾーン)、中盤(ハーフラインの両側の地域)、敵陣(相手ゴール前の攻撃ゾーン)と呼ぶと、

1 失敗は失点につながる恐れのある自陣内、守備ゾーンは原則としてドリブル禁止!

2 中盤は主にパスで通過!ハーフラインを越えると守備を崩し突破する為にドリブルも必要だが、一人で長くキープすると、敵が次のパスを読みやすいし守備を固められる。

3 ペナルティラインの手前から敵陣内、攻撃ゾーンはドリブルが必要不可欠で、目的は突破得点、隙あらばすかさずシュート、得点するぞと決意してかかれ!それが無理なら味方へラストパス、粘ってチャンスメイク!仕方がなければボールを味方に戻せ。


[注意]
以上の原則を守ってドリブルかパスか正しい判断選択をしなければならない。

1 相手が困る致命的なコースへドリブルせよ!相手が取れない所へボールを動かせ!

2 ドリブルするがいつも何も役に立っていないとか、何をしたいのか不明なものもある。始める迄に何をするのか決めておけ!アイディア、計画、目的を持ってドリブルせよ!例えばこちらへドリブルして敵を引きつけて逆へパスしようと決める。突破する時は、先ず第一にシュート得点、第二ラストパス、という順序で二つ用意してかかる。

3 ドリブルは最後が肝心、必ずマイボールで終われ!相手ボールにするな!
◎ 上級になると、それだけでなく、チームが試合を有利に運んで敵の守備陣を崩して破る為に、何処でどのようにどの程度にドリブルとパスを使い分け組み合わせ配分するか、指導者だけでなく、選手各自も頭脳を働かせてプレーする事が必要になる。例えばパスにせよドリブルにせよ、単調で効果がないので変化をつけリズムを変える。敵に手の内を読まれているのでやり方を変え敵の意表をつくなど。


[いわゆる持ち過ぎの矯正]
 持ち過ぎには、周りが見えず判断選択ができない、持ちたくてパスが頭にないなどがある。必ず何回かボールタッチしてからか、少しドリブルしてからでないとパスやシュートをしない選手もいる。
 それで指導者が、持つな!早く!と怒ってばかりだと、選手は怒られないようにするだけになって、ドリブルかパスかの判断選択力は身に付かない。私は叱責や命令ではなくて、いろんな練習法を使って、彼が自分自身でそれができるようになるように工夫した。 ツータッチやダイレクトでのパスゲームでは機敏に決断させる為に、競り合い以外でのスリータッチ反則を厳しく取り、(後述予定の)必ず指定したパスを使わないといけない実戦的練習や、ラストパスからの得点だけ認めてドリブル得点禁止とか、2人抜きは反則などの条件つきミニゲームも大いに有効であった。
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2010年12月21日

試合で役立つ練習を!

 私が指導した頃の枚方FCでは小学生は学年別、中学生2〜3、高校生は1〜2クラスあって多いときは合計300人くらい。練習は小五以下が週1〜2回、小六、中学生、高校生は3回。土曜日は低学年が2時から始め、ほかは夕方5時からで大体1〜2時間半。
 だが借用した小学校の校庭が狭いので木曜が小六と高校生の練習日だと、小六が先に始めて、高校生は少し場所があく6時頃からになり終わりが8時前になってしまうので気の毒だった。本当によくやってくれたと思う。保護者のご協力に感謝している。
 練習内容は少しずつ異なり、小六中高生は最後のミニゲームに30分以上とった。やりたい事が山ほどあり時間不足だが最高の成果をあげるようありったけの知恵を絞り、いやでも上手くなるように練習法を考案工夫した。参考になりそうなものだけ紹介する。

ボールリフティング(ジャグリング)
 ボールつきでの柔らかなボールタッチと身のこなしは全てのプレーに役立つ。でも回数を競うコンテストは盛んだがボールつきそのものは試合中あまり実用されていない。それが残念で、枚方FCでは試合で役立つように動きを加えたプレーを練習した。
 通常、長時間利き足のインステップでついて、「苦手な足もやれよ」と言われるだけだが。うちは右足だけで、左だけで、両足でと指定して、インステップだけでなく、インサイド、アウトサイドつきもやった。だが他の練習もしないといけないので長時間はとれないし、初心者はすぐ飽きるから3分くらいで次に移っていった。あとは自習できる。

<基本練習>
1. 足で10回以上つけたら、額、腿でつく。肩や腕を入れたり組み合わせたりして。
2. 右インサイド、左アウトサイド、右インサイドと交互に。その逆も。
3. 足で高くつき上げ落ちてくる迄に一瞬両手を地面につけて、落ちてきたのをつく。
4. 時々ボールをインステップにのせる、同様にインサイド、腿、胸、額に。
5. 慣れたらボールを足ですくい上げてつく。
6. (周りを見る習慣づけ)2人組んで、1人がつきながら相手が出す指の数を読む。
7. つきながら歩いて前進、後退、横這い、ジグザグ、それを駆け足で。
◎ 練習日には何10回もつけるつき方はしないで、他のつき方やプレーを練習すること。

<実践的に応用>
8.2人組んで、軽く妨害する相手にボールを取られないようにつき続ける。
9.(a)駆け足つきからボレーやハーフボレーシュート
(b)いろんな方向からのボールを空中で受けツータッチで、振り向きざまでシュート
10.(a)2人組んで、1人数回ついて浮き球パス。前進、いろんな方向に移動。
(b)駆け足つきで浮き球パスからシュート、ワンツーから。
11.横からのボールを高くつき上げ反対側に落としてシュート。
12.後方からのを半身でアウトでオーバーヘッドさせて前方へ落ちるのをシュート。
13.ゴールを背に足でつき3回目にオーバーヘッドさせターンして落下地点でシュート。
14.足で高くつき上げ前にいる相手の頭上を越えさせて走り込みシュート。後方からボ    ールをヘディングで相手の頭上を越えさせて落ちてくるのをシュート。
◎ こういうプレーは難しいが、練習しておくと、試合中、咄嗟に身体が動いて応用できる事がある。使う機会がなくても練習すると巧さが増すのでやっておくとよい!

トラッピング(狭義のボール・コントロール)
(原則)トラッピングは、シュートする為にトラップするという具合に、次のプレーの始まりで、そのプレーにすぐ移れて成功するようにトラップしなければならない。
1. その前に周りの状況やゴールを見ておいて、トラップしてどうするのか決めて、
2. ボールに走り寄り、次のプレーが上手くできるようにワンタッチで柔らかく勢いを殺してピタリと止めて、すぐさま顔をあげて見て(ルックアップ)、次のプレーに移る。
◎ 状況や目的に応じて、スペースへ大きくトラップしたり、トラップしながら2、3歩前進して敵をおきざりにしたり、横に動いてかわしたりする事もある。
◎ 理想は、状況判断に基づき臨機応変、ボールを意のままによい所に止めたり置いたり動かしたり自然に出来るようになる事だ。突っ立ってボールを足だけで操ろうとするのでなく、膝と身体全体を柔軟にリズミカルにボールの動きに合わせていかねばならない。

<基本練習>
15.(a)2人組んで前から足もとに投げられたボールを左右の足の裏で柔らかくワンタッチで止め、素早く相手を見て返す。インサイド、アウトで止めて。インステップにのせて。
(b)2、3メートル前や2.3メートル横に投げられたボールに走り寄って。
(c)以上の練習で右で止めて左で返す、逆も。アウトを除く。
16.(a)(b)同様に投げられたのをヘッド、胸、腿で受けてボレーかハーフボレーで返す。
(c)後退しながら投げたボールを、前進しながら受けて返すのを続ける。
17.(a)自分で投げあげて(ついてヘディングで)前、横や後ろにトラップ。
(b)3メートル前や横、後方に投げたのを違う方向にトラップ。
(c)座っていろんな方向に投げ上げたのをトラップしシュート。
18.駆け足前進する選手にコーチが横からいろんなボールを投げてトラップしシュート。
19.(a)前から投げられた頭を越えるボールをトラップして返す。
(b)それを向き直りながらトラップしてシュート。
20.コーチがいろんな地点からキックしたボールに走りよりトラップしてシュート。
21.3人組んで、Aが投げたボールをBが足、胸で受ける練習に、近くから軽く妨害する選手Cをつける。Cは1:1でなくBの良いプレーは見逃して失敗したらボールをとる。

<実戦的にフェイントしてトラップ>
22.(a)2人組んで、前からのボールを右へ動くようなフェイントから右インサイドで左へ出て行くようにトラップ、またはトラップしてから左へ。
(b)左へ動くとみせて右インサイドで右へ出るようにトラップ。または止めてから右へ。
(c)左へフェイントして右アウトで右へ。左は逆。
23.(a)3人組んで、ABの10メートル前にC、AはCにボールを投げてから、Cに迫り軽くおどかし妨害するが、しつこく追わない。チャトラップしてからAをかわすか、フェイントしてトラップでかわしてBにパス。Bはパスを貰うために少し動いても良い。
(b)2人組んで、Aは投げてBに迫る。Bはフェイントしてトラップで、またはトラップしてからAをかわしてシュート。トラップで敵をかわせるのがベスト!

 ◎ボールを見てプレーするのは当然だが、試合中はボールを見ながら周囲も同時に視野の端で見る間接視ができないといけない。迫ってくるAを直接、間接に見ること!

<横からのボールを受け相手を背に回転して逆へ>
正面に向かっていて右横からパスがきた時、通常相手をブロックして右足で受けて前進するが、それと違う処理法を練習する。
24.右インサイドで受けてボールを右足につけたまま左軸足を中心として身体を時計回りに180度以上回転、ボールを反対側ないし正面へもっていって左足シュート。真上から見ると3時で受けたボールは円を描き、9〜12時に来る。左からは逆。
(a)これを3人組んで練習する。正面へ向かっているBにAが横からパス。Bは受けて回転して(シュートの代わりに)正面のCへパス。
(b)要領がわかったらコーチが横からパスして選手は受けて回転してゴールへシュート。
(c)できるようならマーカーがつき軽く妨害する。受け手はマーカーをブロックしてボールタッチ、マーカーを背にスクリーンし回転してシュート。

<向き直りからシュート>
25.試合中、パスが来る直前に自分の背後を見てノーマークなら、後方からパスされたボールに走り寄って右足で受けたら時計回りでトラップしながら向き直り左でシュートする。左足受けは逆回り、右でシュート。ボールを引いたり横に動かしてもよい。
26.(a)背後からマークされていたら、バックパスするか、フェイントしてマーカーをかわして向き直らねばならない、ABCDは両端がADの一直線上、中央にBC。AB間とCD間は10メートル以上。Aが後方からBにパス、Bは背後からCにマークされていて、自分の右へ出るようなフェイントから右足インサイドで受けて、時計と反対回りでCをかわして向き直り逆へ出て前方のDにパス。マーカーは軽くついているだけでフェイントにかかってやる。次はDがCにパス、Cは同じプレーでマーカーBをかわしてAにパス。左足インサイドで受けるときは全て逆。
(b)同様に左へフェイント、ボールを右足アウトで受けて時計回りで向き直り、逆へ出てパス。逆は右へフェイント、左足アウトで受けて反時計回りで向き直り逆へ出てパス。
(c)要領がわかったら密着マークし妨害を少し強める。フェイントやかわし方は自由。
(d)ゴールありで密着マークされての1:1に進む。

 ◎試合中、ボールを扱っている時や、今にもそうなりそうな状況だと、なかなか背後を見る事ができないので、敵に背後から密着マークされると、その気配に自分で気づいて妨害やタックルを早めに感知して対応するしかない。だがこれは至難の技で体得に長年の経験が要る。この練習法は、私が学生時代苦しんだ経験から、これは幼少から実戦的練習で密着マークに慣れて必要な感覚を身体で覚え対応打開力を培うしかないと考え独創したもので、実施したところ狙いは的中、選手はマークに平気で対応できるようになった。
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2010年11月22日

教程の考案

[欧米人は試合(ゲーム)から、日本人は練習からサッカーに入る]
 この警句は慣習の違いだけでなく両者の文化、サッカーの歴史や本質を物語っている。
欧米の子供は先ず道路や空き地でストリートサッカーをして遊び、小学生になるとクラ
ブに入り好きな者はサッカーを続けて大人になる。もともとサッカーはそうした遊びか
ら自然発生して発展進化したものだから、正式の試合も子供の遊び(ゲーム)とつなが
りがある。  

 だが古来、スポーツが無かった日本ではサッカーは東京で英国人が教えたのが始まり
で(1873)、欧州と違って遊びやクラブでなく、学校サッカー部で教わり練習するもの
になった。ところが厳しく鍛えられるのに試合になるとなかなか上手くプレー出来なか
った。  
 
 というのは、日本一を狙うような強化チームは別だが、大多数のチームは伝統的に走
るのと基本的練習ばかりで殆どゲーム的な練習をしないで試合に出たから、柔道で投げ
の型の練習だけで1:1の乱取り稽古を殆どしないで試合で戦うようなもので、いくら怒
鳴られて頑張っても練習したプレーが試合で通用しなかったのである。  

 その点、欧米の少年は逆で、幼少から試合を見て、遊びでも練習でもゲームをやるの
でゲーム慣れしているから、基本練習は退屈してさぼっても、ゲーム的な練習や試合に
なると自分で思うように出来るので、喜び勇んでやる気になっていきいきプレーする。  
 
 まさしくゲームから入るのと練習からのと差異である。学校で英語を何年習っても英
会話が出来ないのに、向こうで生活すると出来るようになるのと同じで、サッカーはゲ
ームなのだから日本のように基本的な練習ばかりでは駄目だ。ゲーム、つまり試合は無
論のこと、遊びや練習を含めて敵との戦いを相当体験しないと実戦力がつかないのであ
る。  

 極端な例が南米で、日本は明治時代に渡来したサッカーを学校教育に入れて実直に基
礎から始めたが、同じ頃、南米ではやってみると面白いものだから教育も基本もない、
子供の遊びと大人の草サッカーというまるごとサッカーでゲームに明け暮れるうちに、
まるでサッカーが遊びから進化した過程を辿るように上達して欧州を凌ぐ勢いになった。
だから彼らはサッカーは教えたって駄目!遊んでいると上手くなるんだ、と日本を馬鹿
にした。

[幼少年はゲームで始めよう!]  
 戦後、欧米を見習ってクラブが出来たが、実体は学校サッカー部と大同小異で少年サ
ッカー育成に成功した私の経験から直言すると、日本サッカーも始まってから百年を越
えたので発想を転換して、欧米のように幼少年はゲームからサッカーに入り、いきなり
英会話的にゲームを始めてずっと続ければいいのである。  

 練習日の最後に3:3、4:4などミニゲームをして適当に相手を変える。ダンゴなって
もいずれほぐれるから、そのうちに幼いなりに、「自分で周りを見て考えろ、攻めるだ
けでなく危ない時は皆で守れ」、などと教えて、慣れたら人数を増やしてもいい。ボー
ルつきなど基本練習は飽きないように短時間で次に移る。そうすれば子供たちは面白い
のでサッカー大好きになり必ず自分で努力して工夫するようになる。これがコツである!

[目標とする選手像]  
 小学三年生頃から教育を次第に本格化して、どんな大人の選手に育てるか、目標の選
手像から逆算して、指導育成方針や練習法などを割り出す。 例えば、日本選手の欠点
(圧迫妨害下でボールを持てない、1:1の弱さ、自主性、創造力、度胸の不足、突破得
点力の無さ)を無くして、欧米選手の長所(周りを見て意図を持ってプレーしミスを恐
れずトライする、創造力、意外性、得点力、1:1の強さ、フェイント、ずるさ)を加え
た選手を目標にすれば新しいタイプの選手が生まれる。

[技術戦術修得の順序]  
 サッカー教育を幼時に始めるのは早く大人のサッカーを仕込む為ではない。妨害下の
ボール扱いや1:1は幼時からボールに馴染まないと上達しないし、従来の基本技以外に
もっといろんな技能が必要で、感覚や智能面も独特で早くからゲームに慣れて実戦的経
験を積み、判断工夫力、打開力をつけて一人前になるのに10年以上かかるからである。
その際、次のような理由で優先順位に従ってかからねばならない。

1. ドリブル、ボール扱い、1:1などの感覚、細かい技術戦術を体得するには幼少から
始めて実戦的練習をずっと続けないといけない。大人になってからでは遅い。

2. 幼少では無理で少し成長してからの方が上達し易いものがある。例.短いパスは小
学生でできるが、ロングパスや広い展開攻撃は総合力から中学生の方が良い。

3. Aを身につけるのに必要な事がB習得の邪魔になる場合はBを先にする。例.ボールを
離すパスはボールを持つ一連の技術(ドリブルなど)の会得にマイナスに働き易いので、
ボールを持つ方を先に始める。守備は自然に近いゾーン・ディフェンスが先、マン・ツ
ー・マン・ディフェンスを後にする。並行して練習する場合は先にやる方に重点をおく  

各種技能は優先順位、難易度の順に練習すると年齢的成長に調和して身につき易いので、
原則として練習は容易なプレーから始めて難しいプレーに進む。その際、敵なしで練習
して多少できるようになったら、実戦的練習に移り敵ありで練習して実戦力をつける。

1. 練習の進め方、組み立て方止まっていてプレーから、走りながら動きながらのプレ
ーへ、それをスピードアップ。フリーでプレーから、敵に軽く妨害されながらのプレー
へ、妨害を強めより実戦的に。単一のプレーから、数種目の複合プレーへ、それを敵あ
りで実戦的に。

2. 種目別の練習(原則ABの要領で)ボールを持つプレーから、ボールを離すプレーへ、
パスへ進む。(自分でやり抜く)個人プレーから、味方と組んでやる連係プレーへ(味
方を助ける、味方を利用する、味方を活かす、良いプレーをさせる)、さらに組織プレ
ーへ。ショートパスからロングパスへ。単発単純なパスから複数複雑なパスへ。ボール
・テクニックから、ボールなしのプレー(ポジショニング、パスを貰う動き、サポート、
フォロー、三人目、おとり、スペース作りの動き、マーク、カバーなど)へ。

◎ ドリブルとパス、個人プレーと連係プレーの練習を並行してもいいが、ドリブル、
個人プレーが上手くなるように。但しパスや連係の指導修得が遅れ過ぎてはいけない。

3.試合の一部を練習(特定戦法の実習、一場面の再現練習などを含む) 
1:1→2:1→2→3:2→3:3へ、さらに人数を増やして。 各選手共通のプレーから、
ポジション別のプレーへ。 ゾーン・ディフェンスから、マン・ツー・マン・ディフェ
ンスを加えた守りへ。 ミニゲームの人数を増やしていって11:11へ。 局地戦から広
く展開しての攻守へ。遅攻撃から速攻へ(逆でも可能だが)。
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2010年10月21日

少年期の育成構想

[同じ失敗を繰り返さないために]
 40歳で少年サッカー育成を始める時、学生時代、気をつかって能力を出せなかった後悔から、「彼らに自分の二の舞いをさせてはならない。スポーツは面白いからやるものだ。叱ってやらせるのではなく自由に楽しくのびのびプレーさせよう」、と決意した。だが従来の教育法では代わり映えしない。やるからには優れた個人技を持ち個性的で創造性豊かな、お互いのアイディアでこれまでと違う面白いサッカーを展開できる大人の選手になるように育てたい。そこで全て白紙に戻しゼロから出発して、欧米の遊びのサッカーや練習法などを参考に自分で考案工夫して育成していった。
 だが指示どおりにプレーするよそと違って、子供たちが自由にプレーし自らの裁量で試合を進めるのだから幼稚で初めは負けてばかり、馬鹿にされて随分異端視されたが、小学六年生頃から勝てるようになり、薄暗い照明下、長さ50米の狭いグラウンドで練習した苦労が実り中学生になると予想以上に上達した。ユースになると日本クラブユース選手権大会で、日本リーグ読売などのテストで選ばれて鍛えられたエリートのユースチームを破って優勝2回、準優勝2回!ユース代表も出て注目され、サッカー誌に、「独自の少年教育法は日本サッカーに光明を与えるだろう。疑う人は枚方へ行って教え子たちの創造力に溢れたプレーを見て頂きたい」、と絶賛された。恐らく前代未聞の記事だろう。
 マスコミの取材が続き協会や他のクラブから見学に来訪、少年サッカー界の第一人者、清水の堀田先生に日本サッカーの基礎を作ったと言われるやら大騒ぎで、サッカー誌に理念、練習法などを連載した。でもたまたまそうなっただけでもともと私には野心も功名心もない。いわば実験的育成で、ただ少年たちがサッカーが大好きになって思いきり上手くなって欲しかったのだ。お陰で育成法もわかったし信じ難い大成功で感無量であった。

[幼少年期は個人育成]
 子供は学校教育を受けて大人になり社会に出て働く。サッカー教育も同じように少年選手を18歳頃にどんな大人のチームに入ってもそつなくプレーできる選手に育てあげたい。技能には幼少で覚えないといけないものや習得順序もある。だからサッカーも学校教育のように易しい事から始めて小中高と成長とともに年齢相応に次第に難しい事を段階的に学習していくのが順当で、たとえチーム強化の為でもそれをしないで一足飛びに子供に大人のサッカーを仕込むのはよくない。
 ところが指導者の会合で私が、「少年期は個人育成」と言うと、「サッカーはチームスポーツだ。指導要綱でサッカーの授業でチームワークを教える事になっている。私は教育者だからチームを育てる。個人育成は間違いだ!」と即座に一蹴された。だが授業はさておき選手を教育するサッカー部やクラブはそれだけではなく個人の育成が不可欠だろう。
 すると今度は、「チーム育成が個人育成にもなる」と断言された。でも実際は指導者は強チームを作る為に必要な技能や攻守だけ懸命に仕込む。自分の考えでプレーすると叱られたりするので、教えられ命じられた攻守やポジションしか出来ない選手が多いが、試合は指示どおりにはいかないからそれでは無理で、大人になって困るのが目に見えている。
 サッカー選手は試合中、いつ何処でもどんな状況でも臨機応変にいろんな役割を演じねばならないので、独りでも対応打開できる優れた個人力、つまりもっといろんな技能や感覚、判断創造力などのサッカー頭脳とオールラウンド的攻守能力が必要で、それを体得するのは少年時代しかない。にも拘わらず従来の教育にはそれが殆ど欠けていたのである。
 それにサッカーが盛んな欧米の選手は幼少から沢山試合を見て目が肥えている。教える事ができない日常生活の智恵は教師なし学習といって子供が自ら経験で覚えるしかないのだが、サッカーも同じで、彼らは遊びとクラブで、必要だが教える事が出来ない感覚やずるさ、損得の駆け引きなどを体感し体得していくので、サッカーの実体が良くわかっている。これは遊びがなく教わるだけの日本選手の多くに無いもので矢張り身につけるべきだ。

[育成するのはチームプレーができる個人]
 個人というと勝手気ままな選手を想像されるが、私が言う個人はサッカー選手なのだから個人技、個人力をつけるだけでなく、当然、連係、組織プレーなどが全てできてチームの一員として活動できるように幅広くいろんな攻守とチームの戦法やポジションなどをこなせる選手に個人を育成するのである。
 教育サッカーの日本は初めにチームありきで、チームと個人は相反するもので両立できないという固定観念があるが、本場の欧米では強烈な個性の選手が個人プレーとチームプレーをうまく使い分け併用している。頭から個人プレーが非難排斥される事も無い。
 でも流石にプロは個人力の強い外国人選手を雇う。本当はどこでも上手で強い選手が欲しいのだから、そういう選手を育てればいいのに、大人になってからでは手遅れで、幼少からだと底辺もチーム一辺倒の教条主義で個人育成反対だ。一人ひとり優れてないと優秀なチームはできないので、個人育成は間違い無くチーム育成に役立つのに理解されない。
 私の少年教育は従来と逆で、チーム育成も個人育成の一環だ。子供たちは指示で行動させられるのでない。毎回やる自由なミニゲームで自然に攻守や味方との協力連係などを、実戦的練習で戦い方などを身体で覚えていく。試合ではそれぞれ自ら考えて行動するのでチームも年齢相応の幼稚なチームでスタートして、彼らの成長上達につれてチームも成長向上していくわけだ。教えたりアドバイスはするが、自発自得が原則で強制はしない。

[基本方針]
 目標の大人の選手像は冒頭に述べた。私の少年サッカー教育は個人育成で、スキル、実戦力とサッカー頭脳の能力、特に自立創造性の向上を図る体験教育である。
1. 選手は自立自発、自得創造!試合も練習も上からやらされるのでは駄目!自分から進んでやること!何事も受動(受け身)でなく能動(自発行動)で!
2. 試合も練習も少年たちが面白くできるのがよい!幼い最初からミニゲームを毎回やるとサッカー大好きになって自然に自立し自発的になり向上心が起こる。これがコツだ!
3. 選手主動!試合は選手が頭脳を働かせ協力しあって進めること!試合は監督と選手の合作(オシム)で、選手は指示に従う立場だが、試合中、指令どおりに実行するか否かは、選手が判断して決めること!その旨、指導者は了解して頂きたい。
4. 従って試合を自主的に進め得るサッカー頭脳の良い選手に育成する!教え過ぎ、過干渉は選手の自立を妨げて考え工夫しなくなるので禁止!野性、積極性もなくなる。
5. 選手は臨機応変に攻守両方が、単独でも、連係して組織でも上手くできて、どんなポジションでもこなせるオールラウンド・プレヤーを目指すこと。
6. サッカー選手はゲームの中で育つので、練習は全習(ミニゲーム、試合的実戦的練習)を多用!分習を従とする。技術戦術修得は優先順位で行い、次に実戦的練習で試合で通用するスキル、実戦力を身につける。(プレーでは技術、戦術、感覚、頭脳の働きなどが一体となって発揮されるので、別々でなく一体化したスキルとして身につけること)
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2010年09月21日

サッカーはゲーム

[エンジョイ]
 日本のサッカー選手はフォア・ザ・チームで頑張ってきたが、最近は気の張らない試合だと、楽しもう!とか、楽しんだと言う声も聞こえる事があるらしい。
 欧米人は試合で闘志満々、日本人以上に真剣にプレーするが、こちらは尋ねると必ず、エンジョイした、と答える。もっとも何かにつけてエンジョイと口にするのでいろんな意味を含んではいるが、彼らは人生を楽しく送りたいから楽しくない事はしない。
 確かに、体格体力に恵まれ自我、自己主張の強い彼らが、ルールで守られたピッチで激しく戦って闘争心を満たし、勝つために智恵を絞り技能を発揮しやりたいようにプレーして自己表現できるのだ
から、これほど楽しい事はない。楽しむといっても彼らのエンジョイは我々の娯楽遊興や団欒での楽しむと全く違う。思い切り暴れまくってエネルギーを発散する快感に近いようで、観客も選手と一緒
になって巧技激闘を見て興奮し楽しむのでサッカーはいつどこでも大変な人気である。
 最近、私が一読、さもありなんと思ったとても痛快な記事を紹介したい。
 1970年、メキシコで初めてW カップに触れた。各国の選手たちは日本とは大違い!極めて我が儘で若くても堂々と振る舞い、譲れないところは譲らずプレーヤーとして強いものを持ち、まるで個人競
技の選手のよう!同じユニフォームだから一つになっているだけという感じでチーム内は一触即発、花火や爆竹がバンバンいってる。それぞれ爆弾みたいなもので強烈な個性が出て勝手に爆発しちゃう。
 それがチームの力となる。人々も日本のように整然美でなく、優れた体力、技能、アイディアを備えた彼らの爆発に魅力を感じ混沌の中にある勝利が一番と思っているのだ!日本選手にも爆発してもらいたい! 山本浩

[ゲームをしてない?]
 以前、アルゼンチンの名監督メノッティは日本の試合を見て、「何故あんなにゴールへ直行するのか?サッカーは、あっちへ行って戻って、また行って戻って遊ぶ。そうして相手の気を散らせて、隙ができたら攻め込むゲームなんだ!」と言った。
 もっともな指摘だが、日本は独特で、遊びに由来する欧米サッカーと成り立ちからして違う。それについては後述するが、彼らの試合ぶりには思い当たる節があった。ワールドユースで欧米選手がま
るでトランプをしているかのような頭の働かせ方をしていたからだ。
 調べると欧米ではサッカーの試合はゲームで、ゲームには勝負事、遊戯、駆け引き、策略などの意味があり、彼らはサッカーもトランプもゲームなので同じような頭脳の使い方をしていたわけだ。プレイにも競技する、勝敗を争う、遊ぶ、自由に動くという意味があり、彼らのサッカーがどんなに真剣でもゲーム(遊び)なのだという事が良くわかった。
 明治時代、欧州サッカーは世界中に伝えられ、南米では欧州同様遊びで民間に広まり選手が作り出して楽しむ南米サッカーになったが、日本は渡来した英国サッカーが学校教育の中で武道精神サッカー芸的に日本化され独自のチーム原理主義的サッカーになったので、スポーツは楽しむもの、サッカーはゲーム(遊び)だ!という本質は伝わらなかった。
 だから今でも教育者やマスコミがよくスポーツを誇らしげに文武両道の武になぞらえる。武とは軍事、戦闘、武道の事でサッカーという球技まで、武、つまり戦争の戦いになぞらえているわけだが、
文武両道と言われるとまんざらでもないのか、否定も抗議もいっさいない。現に外見は欧米スタイルになってきたが、武道的な精神主義もあるし、欧米人が愚行と見るゴールへの直行反復に至っては日
本人なら誰でもできる伝統的突撃戦法で玉砕美学だ。メノッティの指摘どおりゲームではないのである。

[日本の大組織は軍隊と同じ型だ!山本七平]
 昔は先生は指導しなかったが、戦後、熱心な指導者が増えて勝利至上で厳しく教え込み鍛えて指令で行動させ、戦うチームの典型である軍隊のようになっていった。指令違反やミスした選手が殴られるのを何度も見た。強チームでは練習前に数キロ走らせたり最後に100 米走を数十本やってビリを竹刀でたたく。倒れる者もでるが、耐えないと一軍になれない。それでも保護者は感謝しているそうだ。
 皆さんはご存じないが、そうして鍛えに鍛え苦しめて耐えさせるのは、指揮官の意のままに動く強い兵士を作る日本古来の伝統的訓練法なのである、頭を使ってチームを動かすのは指揮官で、兵士は
命令に従うだけだから知能を高めることはしない。
 以前、ブラジルで明大野球部の監督が選手を殴って問題になったが、高校サッカーチームのアルゼンチン遠征で熱血先生がミスした選手を殴ろうとすると、向こうの人が飛んできて、虐待で問題にな
るから!と止めた。欧米人選手は日本の指導者が選手を殴るのを理解できない。サッカーと関係ない。
殴っても上手くならないよ!と言う。
 この根は深い。日本人は頭も悪くないしデリケートなくせに暴力に鈍感だ。相変わらず愛の鞭が好きでTV番組で希望者がプロレスラーに殴られて喜ぶ。かつて日本の軍隊では殴打されて強くなると
公言して下級兵士は連日殴られ、海軍では軍人精神を入れると称して精神注入棒で叩いた。学校でも教師がよく生徒の頬を平手で張り飛ばしたものだ。
 いまだに学校やスポーツで暴力が続いているのを見ると日本人にそういう劣悪な遺伝子があるのだろう。良い事はなかなか覚えないし伝えられないが、悪い事はすぐに覚えて伝えられていく。暴力を
絶滅しないと真のスポーツとは言えない。同質同調でない者へのいじめが続いているのに、いまだにコミュニケーション(人間関係)教育がない事も問題だ。

☆ 日本の教育は日本の軍隊と同じ、失敗を分析して二度と同じミスを冒さないようにしようとする発想がそもそも無い!中津遼子

☆ 日本人は集団主義!グループ主義!群れて安心して異質を認めず皆で排除する。欧米と違ってもともとコミュニケーション、人間関係の教育が無いのだ!ヤンソン由美子

◎昭和44 年(1969)から20 年間、枚方フットボールクラブで独自の少年サッカー育成で成果をあげて、長沼、川渕前日本協会々長にもパイオニアとして認められました。故松木さんにすすめられて始めたこの連載も既に4 年、魅力的で優しかった松木さんが今でもグラウンドに立っておられるような気がします。小生の方は馬齢を重ねて81 歳、いまだに下手なプレーをさせてもらって暁の皆さんに感謝しています。幸い識者諸氏に今でも新鮮だと言われて書き続けてきましたが、次回から皆様のお役に立つように練習法などまとめて、来年いっぱいで終わりたいと思います。今暫くお読み頂いて少しでも参考になれば幸甚です。
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2010年08月20日

1対1はサッカーの原点

[技術、戦術、体力の乖離]
 以前、小学生のサッカー教育は中学生と同じだった。子供は無知で自由だと悪い癖がつくと言われたりして、熱心な指導者ほど早く正しい事を教えて理想とする大人のサッカーを命令的に仕込んだ。高校生になって絶対服従が難しくなると、大人になるのだから自分で考えてやれ、と理解も示したが、幼少から教えどおりにして来てなまじ自分で考えてやると、勝手な事をするな!と叱られた選手たちは、急に言われても指示には従わないといけないし戸惑って、結局、厳しい指導が続いた。
 いまだに階級制でレギュラーと上級生だけ戦術戦法を教えて下級生にはまだ早いと言って教えないとか、一年生は体力強化だけでボールを扱う練習なしのところさえ珍しくない。
 連日、長距離走で鍛えて長時間練習したが、敵なしの基本練習が主で、柔道で投げの型の稽古だけで試合に出るようなもので実戦のプレートは違いがあり、試合では苦労が実らなかった。試合ではトラップ、キック、など技術だけという事はない。敵をかわす為とか、パスする、得点するといった戦術的判断で技術を使うのだが、選手は何よりも先ずチームの戦法、指示に従って行動するので、それ以外に戦術的判断工夫をするのはよほど止むを得ぬ場合に限られた。戦術教育も教えて叱って命令するだけで敵ありの攻守練習やゲームはなかった。戦術を考案する事を智恵を働かせるのでなく知識を使う事と考えていたのだ。
 そんな教育の為に日本選手のプレーは型通りで教育臭が強くぎこちなくて、技術の頂点は20歳過ぎの体力の頂点から何年も遅れ、戦術力はさらに遅く体力が落ちた30歳以後になり、ゲーム育ちの欧米選手にかなり遅れた。各頂点はもっと早く一致すべきなのである。

[自作自演、全習]
 その点、欧米選手は自我、個性、自己主張が強く、日本のように分習に凝らないで、幼少からずっと試合でも練習でもゲームの中で自ら考え判断工夫してやりたいようにプレーして、体験から必要な事をまるごと身体で覚えて実戦的スキルと実力をつけてきたので、普通20歳で技能など全て一人前で自立している。
 本来、サッカーの試合は指示を受けた選手たちが自作自演で進めるものだから、彼らのように少年時代にどんどん挑戦し大いに経験を積んで向上していけば良いのだ。しかし日本は何でも教え指示してそのとおりにしないと叱られる。でも試合はそうはいかない。
 選手が敵と戦うとき、反射的、直感的に頭脳と身につけたもので自然に身体が反応して動くか、瞬時に頭脳が働いて即応的にプレーしないといけない事が多い。これは教えられないので、欧米のように幼少から遊びや試合はむろんのこと、敵ありのゲームや実戦的練習で全習し現場で戦いを体験して身体で覚えて力をつけていくしかないのである。

[パス重視と1対1軽視]
 日本式正しい教育で小学生に、ドリブルするな!1:1より2:1だ!ダイレクトパスだ!と教えると連戦連勝できる。だが小さい頃カモにされた相手は成長するにつれて守備力が強くなり、単純なパス攻撃を防げるようになって1対1の場面が増えてくるから、ずっとパスだけで来た選手は1対1が弱いので困る事になる。
 少年チームをパスで勝たせる指導は目先の試合や大会の勝利という近い目標を達成できる。しかしずっと続いてきたドリブルや1対1の軽視は、日本選手のそれらの弱点を強化し個人技の優れた大人に育てるという遠い目標達成を不可能にしてきた。それだけでなく、次に述べるようにパスサッカーそのものの向上まで阻んできたのである。

[先ずドリブル、1対1を!]
 1対1は軽視されているが、個人の全能力や実戦感覚、サッカーの頭脳が使われ、パスなどあらゆるプレーに関係があり、ボールを確保できれば試合の主導権を握れる。だから将来の為にドリブルと1対1の練習をもっと重視して、大人になって練習しても上達しないので、幼少からいろんな形でずっと続けねばならない。
 パスは少し大きくなった方が視野が広がり感覚、判断、キック、走力などが良くなるので、長いパスは小五以後でもよい。従って年少の間に先ずドリブル、1対1を練習して上手くなるべきで、パスは短いパスを正確さと判断、感覚を重視して練習するのがよい。ドリブルがパスか、の判断はミニゲームなどを続けていくと自然にできるようになる。

[1対1はサッカーの原点]
 欧州では今の教育された選手よりも昔のストリートサッカー出の方が面白いプレーをした、天才的な選手がいた、と言われている。遊びで子供たちは抜き合い、点の入れ合いに熱中し智恵を働かせて自然に自分で必要なものを身体で覚える。教育による画一化がなく、個性的、独創的に上達して自由に才能を発揮して実戦力をつけていく。ジダンやロナウド、メッシたちのように、それが大人になってものを言う。
 日本人の盲点はこの遊びのサッカーの価値や必要性を知らないことだ。器用な日本人が欧米人より下手なのは子供の遊びのサッカーが無いのと、指導者がボールを持たせないからで、自由にボールを持たせて、怒らないで見守ってやれば、必ず皆上手くなる。
 それに肝心のパスが下手で困る。早く速くと焦るのと、1対1に弱いので少し妨害されるとパスの正確なやり取りができなくなるのだ。強いと落ち着いて見て、無理ならキープして他を探し、状況判断して的確にパスを送れる。味方も次々にコースを作り上手く受けられるので、競り合い当たられても突破、シュートの可能性がある。この差は大きい。
 パス本位の大人の試合でも相手守備が強いほど優れた1:1などの個人技が絶対必要になる。難しいけれどそこで自信があれば意欲と勇気が湧き、余裕ができて成功率が高まる。
 例えば辛うじてシュートしたのでは通常得点できない。難しい状況で得点できたときは、シュートの瞬間、0.5秒あるか無いか、ほんの僅かだが余裕があったときだ。夢中でからだが動いたのだろうが、潜在意識に自信があるので慌てないで一瞬狙い定めたり、無意識にキックやボールタッチの微調整や相手に当てない工夫などが出来たのではないかと思う。
 日本選手に少ないこのスキルや対敵能力から来る実戦的自信と余裕が是非欲しい!得にシュート、得点の自信だが、まず何でもいい。上手くなって、この形になればいける、負けない、という得意なプレーを身につけて、試合で自信をもってプレーをして欲しい。それが出来たら余裕が生まれて頭脳が働き成功して、されに向上できる。

◎今回、W杯のスペインの変幻自在のプレーで、上記したように1:1やドリブルなど見事な個人技と自信、余裕が素晴らしいパスワークのもとになって、優れた個人の視野、判断、センス、駆け引き、動きなど、サッカー智能がそれを作り出す事がよくわかった。
 あのように選手たちが臨機応変に呼吸を合わせて自由に作り出すサッカーは、指揮してやらせる日本の指導者の発想にはない。選手もシンプルで頑張りズムのドイツサッカーの方が親近感がある。優秀な選手が2、3人では無理、6人以上必要だから、従来の教えてその通りにさせる将棋の駒教育ではできない。幼少からゲーム多用、自由度の高い放牧的サッカーの場と、すべて自分でやっていく自立自発創造性教育が必要になる。

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2010年07月20日

選手は戦いの中で育つ

[実戦力をつけよう!]
 サッカーは相手に激しく当たられるので大変だ。一瞬を争うので冷静さを失いがちで、急ぐあまりよく自分で失敗してしまう。
 そこで枚方FCでは妨害されても慌てないでプレーできる選手になるために、先ず敵との戦いに慣れるように初心者から必ずミニゲームと1:1をやった。そして小学三年生頃から、心技体に智を加えたいので対敵動作、技能の習得と同時に、周りや状況を見て考え判断工夫してプレーする事を少しづつ教えて、それが、習慣になるように指導していった。
 ミニゲームや敵ありの実戦的練習を続けるのは、サッカーは試合なのだから、畳の上の水練でなく水中で練習しないと水泳選手になれないように、絶えず試合やミニゲームの中で敵と戦って成長していかないと本物のサッカー選手になれないからである。
 欧州でプレーした中田英寿は、「日本選手は練習では上手い。世界一だが試合では出来ない。技術を使えない。使い方を知らない」と言う。プレーで練習がわかる。毎日長時間練習するので敵なしだと上手いが、敵ありで練習しないから試合になると出来ないのだ。
 実戦的な事は教われば出来るというものではない。精神力や智恵、感覚、スキルなど試合に必要な技能の総合を実戦力と呼ぶと、試合で臆せず意図をもって活動できる実戦力は、結局、戦いを、それも長年無数に体験して身につけ自ら磨き高め強化するしかないので、幼少から試合とミニゲームや実戦的練習をいっぱいさせないといけない。
 本場欧米ではそれが自然に遊びとクラブで続けられてきたが、日本は輸入スポーツの為に体験教育の必要性がわからなくて殆ど行われなかった。この違いはいまだに大きい。

[指示は命令ではない。チームは軍隊ではない! オシム]
 試合中、選手は指導者の指示に完従しないで自分の考え判断でプレーしてよい。というよりそうしないといけない。
 例えばサイド攻撃を指示されたが、中央が空いているのを見つけたら素早くそこを突く。チャンスなのだから、指示になくても指示にそむいてでもチームの為に当然やるべきで、欧米ならサッカーで遊んでいる子供でもそうする。だが日本の少年サッカーではチャンスと気づいてもそうしないで、指示されたサイド攻撃しかしない選手やチームが少なくない。
 理想のチームを作りたい指導者は選手が指示以外のプレーをすると怒るから、少年選手は指示された事しかしない。そのため自由にチャンスを見つける、作るといった創造性、自分で創意工夫してプレーする能力がつかないので、大人になっても守備はともかく攻撃が下手で、特に得点が苦手だ。日本選手共通の弱点で少年教育の改善が必須である。
 それに型どおりの攻撃だけではなかなか守備陣を破れない。選手たちがそれ以外に積極的に突いたりかき回したりいろいろ攻撃を仕掛ける事が絶対必要なのである。1:1やロングシュート、ドリブルなどの個人力は強いほど良いし、組織攻撃も個人が上手くやってこそで、当然、選手の自由度を高め個人力をもっと強化するべきなのに力を入れなかった。
 選手は指示に従わないといけないので、どの程度自分の思いどおりにプレーしてよいのかよく悩む。大事な場面でそれでは駄目だからストレスを無くさないといけない。それには指導者の意識改革が必要で、指導者が選手を動かすのでなく、試合は選手が考えて進めるものだ、という事を幼少の頃からハッキリ教えて自立自発、創意工夫させて思いきり活躍出来るようにのびのび育てれば自由奔放にプレーして攻撃力が増すに違いない。

[昔からあった教えない教育]
 創造性という言葉はなかったが、自発自得の教えない教育は次のように昔からあった。今と違ってむしろ教育の本筋だったように思われる。
 ☆三度問われて一度答うべし。多言するなかれ!道元
 ☆言葉は八分にとどめて、あとの二分は考えさせよ!伊庭貞剛
 ☆何も教えないのが一つの教えだ。本当の芸は身体で覚えるものだ!内藤国秋
要するに昔も今も、やらされてでなく自ら努力しないと本物は会得できないのである。

[欧米では?」
 最近、日本が学ぼうとしているスペインではシステムなど子供に大人と同じ事を教えるが、大体欧米の小学生教育はのんびりしている。ゲームも11:11でなく少人数に制限しているところがあるが、中学生から大人とほぼ同じになる。
 しかし、向こうには私の言う子供を自立させる為にあまり教えないといった配慮はない。欧米は子供でも自我、個性が強くて自己主張する。幼いなりに考えて自己流にプレーするので、教わったとおりにしないとか指示をきかない子供が少なくないけれども、日本のように教えた為に自分で思考工夫する事をしなくなる子供はいないからだ。
 ☆ソフトボール女子代表チームの女性監督(中国から帰化)は日本選手が黙々と服従するので驚いた。中国人は黙っていない。必ず口々にやかましく自己主張するからだ。

[自発自得できる練習法が必要]
 教えないでゲームをさせるだけか、とよく言われたが、少年たちは、私が智恵を絞って、やればいやでも上達するように考案した実戦的練習が面白くて熱中し、自分で考え工夫して上達したのであまり教える必要がなかったし、サッカーは教えられない自得するしかない事が多いが、充分教師なし学習したから必要な事は大抵会得した。だから私が黙っているのに上手くなると不思議がる人もいた。
 とはいえクラマーさんも、教えないと年取ってしまう、と言ったように、全てを体験する事は出来ないので、サッカーも教えて選手が教わるとおりにして覚える普通の教育と、あまり教えないで選手が自ら考案工夫する創造性教育と両方必要で、私も併用した。
 例えば、アルゼンチンのコーチはタッチライン沿いからセンタリングする日本選手を見て、「我々は切り込んでゴールライン沿いからゴール前か、マイナスの得点に結び付くラストパスを送るように教えている。日本は何故教えないんだ!」となじった。それはそのとおりで、常識的な事が高校生でまだ出来なければ教えて練習させないといけない。

 ☆ドイツのプロチームで、日本のように言われたとおりにプレーしていると、もっと自分で考えてプレーしろ!とよく言われた。元日本代表 奥寺康彦

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2010年06月19日

創造する楽しさ

 私が生まれた神戸は戦前のサッカーどころで、8歳から校庭、空き地は無論のこと、うちの前の坂道でもストリートサッカーに熱中した。六年生の頃には自分がサッカー向きのような気がして公式のサッカーボールを買って貰った。今と違って学校中で私一人だったが何しろ何しろ運動靴にすぐ穴があいてしまう。戦争中で物資不足の為に何か物をあげないと修繕してくれないので母は随分困ったに違いない。でもサッカーをやめろとは言わなかった。

[創造的プレーのすすめ]
 スコットランド・リーグでMVPになった中村俊輔は創造性豊かなフリーキックやドリブルの名手で先日出版した「夢をかなえるサッカーノート」が好評だ。近頃流行の何とかノートという題名の元祖は戦前の名著、哲学ノート(三木清著)で、1972年に私が出した日本で最初のサッカーノート上下巻がその次という事になる。38年前で俊輔君はまだ生まれてなかったのだから今昔の感がある。
 創造的プレーには日頃考えたものと、試合中に思いつくのとあって直感的に閃くこともある。相手の裏をかき意表をつくには鋭敏な感知力と機智、気転、それに相手を騙したりごまかしたりするずるさ、ブラジル人の言うマリーシャも必要だ。
 私は子供の頃から相手の意表をつくプレーが好きだった。意外性や創造的プレーは興味のない選手はしない。するのは遊び心というか、そういうプレーが好きとか面白がる選手で、遊びからサッカーが生まれた本場の欧米では盛んで喜ばれる。だが日本は遊び禁忌の学校教育と社会体育系のサッカー界だから枠外というか関心も要求も無い。
 選手もその種のプレーを知らないので、折角意外なパスなどやっても味方が受けてくれなかったりして、逆に、生意気とか変な事するなと怒られたり反感を買ったりした。
 意外性とか創造性と言っても実際は自由な思いつきだから子供でも出来る。やる方は簡単で、受ける方が慣れてないと難しい。その点、ブラジルなどは誰でもやるので慣れっこでいい。だから少年選手は皆創意工夫や意外なプレーをどんどんやって欲しい。枚方FCのように子供の頃からお互いに合わせられるようになると面白くなってサッカーが変わる。

[日本の子供にも自主自発性、創造力がある!]
 40年前、子供たちに教え始めたとき、かれらをこれまでと違う個人技の優れた創造性豊かなサッカーを展開できる選手に育てたいと思って、既成の全てを白紙に戻し自分で練習法などを考案して進める事にした。
 試行錯誤して落ち着いたのは、先ず第一に子供たちを一日も早くサッカーは面白いと大好きにさせる事で、練習日には必ずドリブルと1対1、ミニゲームか紅白試合をした。
 紅白試合やミニゲームで子供たちは始めボールに集まり団子になって、注意しても全然きかない。だが数週から数カ月経つとゲームに慣れてきて、自分で密集は拙いとわかってくると自然に団子がほぐれて、ドリブルとシュートパスが見られるようになった。
 そのうちに意外なことが次々に起こった。今のように大人の試合を見る事も少なく先輩もいない。教えてないのにセンタリングするものが出てきて、やがてゴール前でつめるものが現れ、さらに反対側からもつめるようになり、横パスに突破を狙う縦パスが加わった。
 もっと驚いたのは、例えば右からの攻めが上手くいかないと見ると、変更して反対側へボールをさばく、といったゲームメイク的にプレーする少年が自然に出てきた事だ。守備もずっと全員攻撃だったのが、そのうちに一人守り二人守り次第に人数が増えていった。当然とはいえ期せずして全く知るはずのないシステム発展の歴史を辿っていたわけである。
 彼らの変化と成長は、子供の頃からサッカーをやってきた私の経験や見聞を遥かに越えるものであった。その間、練習は普通にしたが、試合やミニゲームでは散開するように注意してもきかないので諦めて叱責や命令強制もしなかった。数週から数カ月経ってやっと自然に団子がほぐれて散らばるようになったのでそれから簡単な注意をしただけだ。
 子供たちは蹴って走るのがサッカーだと思っているので、「蹴り合いしないでドリブルで抜け!周りを見て自分で考えろ!」とか、「皆攻めるだけでなく、危ない時は皆で守ろう!」、などと時折おだやかに言った程度で、ゲームが始まると黙って見ていた。
 それでも彼らは始めるとやっぱり夢中になってそんな事など殆ど忘れてしまう。だから、結局、彼らは教えたからではなくて、自由なゲームが面白くて熱中して、彼らなりに経験を積みそれぞれ自ら考え判断工夫して少しずつ上達し成長して、ゲームの仕方もサッカーらしくなっていったのである。その後も順調に伸びて毎年の新入生もほぼ同じ道を辿った。

[創造力を育てる教育]
 欧米では昔から教えなくても遊びのサッカーで上手くなって優秀な選手が育った。私も自由なゲーム本位で育ててみてそれが本当だとわかった。
 古来、教育は厳しいほどいいとされてきたが、厳しく教えると選手はその通りに行動するようになるけれども、自分で考案工夫する事をしなくなる。教えたとおりにしろと怒ると怒られないように気を付けて言われるままになりロボットや将棋の駒になってしまう。
 だから創造性育成にはそういう兵士作り的教え込みでなく、少年たちに殆ど自由にミニゲームをさせて先ず彼らがサッカーが面白くて大好きになるようにする。そして自然に自分で考え工夫してプレーするように仕向けて、自立自発創造の習慣化を図るのがよい。

[子供はあらゆる可能性を秘めている]
 アメリカでは子供はあらゆる可能性を持っていると見ていて、創造性を引き出す教育では、教師は何も教えないで子供たちを自由に遊ばせる。すると、子供がある事に興味を持った場合、記憶、発見、創造などの能力は、興味を持たない場合の10倍伸びるという。欧州南米の遊びのサッカーはその好例だろう。
 私の上記の経験でもそのとおりで、面白く取り組める機会さえ与えてやれば、日本の子供にも必要なものを自主自発自得できる能力や創造力が充分ある事がわかった。子供は無知無能で全て教えて命令どおりにさせないと駄目だ、という従来の教育は間違いで、彼らをもっと放牧的に自由にプレーさせて潜在能力を発揮させ伸ばしてやるべきなのである。
 ただし、子供は急におとなと同じ事はできない。時間、年月がかかる。自由にさせると始めは見るに耐えないけれども、そういうトンネルを必ず通り抜けて少しずつ良くなっていくから指導者は焦らないで見守ってやって欲しい。根気と辛抱が必要で、考えやプレーが稚拙でも急がせたりむやみに叱ったりしてはいけない、内容やプレーより彼らなりに自分が見て考え判断工夫するという事が大切で、その習慣がつけば必ず伸びていく。
 だがそれがなかなか出来ないようで、或るコーチは自由にさせたらどんどん悪くなるので我慢できず、前のように叱って教える通りにさせたら直った、と語り、私の気が長いのに呆れる、と言った。だが指導者は満足でも実力は選手が自分で努力しないとつかない。

☆大人が口をださなければ、子供はすぐに元気になる! アニメ映画 宮崎駿
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2010年05月20日

教えないから自分で工夫しろ!

 その昔、師は敢えて教えず、弟子は見様見真似、自ら工夫に明け暮れひたすら名人上手を夢見て切磋琢磨、或いは一途に修行三昧、道を極めて名を挙げるに至る世界があった。

[突き放す伝統]
 世の中、日進月歩で人は大なり小なり変化に影響され適応しつつ生活していくが、武芸や工芸、芸能のように技(わざ)を芸と呼ぶ世界にはそれをよそに、古来、教えないから自分で工夫しろ!と突き放す伝統が今なお地味に生き続けている。
 瞬間ごとに詩が現れる(ゴダール)!唯美リアリズム!と欧州ヌーベルバーグに絶賛された名映画監督溝口健二は俳優の演技になかなかOKを出さなかった。しかも、「やってみて下さい、反射して下さい」としか言わない。役者でないので教えられぬとにべもない。
 森鴎外原作の映画、山椒太夫の撮影で、何回やってもダメで疲れ果てた女優香川京子は、次を最後に死のうと決心して、何もかも一切無にして姉の安壽に成りきり演じ終わって倒れた。するとやっとOKが出た。余分なものがなくなり溝口の不満が消えたのだろう。
 彼は滅多に指導しなかったので、女優浦辺くめ子に、「ボヤッと歩くな!電車に乗っても歩いていても人の表情を盗め!拾って来い!」と言ったという伝説が残っている。

[すぐに教えては駄目!]
 俳優、高橋秀樹は芝居で上手くいかず、共演している歌舞伎の尾上松禄に教えを乞うたが知らん顔!どんどん日が経ち千秋楽近くにやっと教えてくれて上手くいった。もっと早く教えてくれたらいいのに、と恨むと、松禄は、「でもしっかり覚えられたでしょう!」と笑った。「すぐに教えるとすぐに忘れる。ひと苦労もふた苦労もさせてから教えないと身につかない」、という歌舞伎役者相伝の仕来りがあったのだ。

[苦労して身体で覚えろ!]
 プロの将棋界は有望な少年が師匠の家に内弟子で住み込み雑用を済ませてから勉強する。だが兄弟子に教わる程度で師匠が直接教える事は先ずない。弟子同士対局し研究し合って腕を磨く。そうしてプロの雰囲気が身に染みこんでいく。
 内藤八段は、「何も教えないという事が一つの教えになっている。本当の芸は言葉では伝えられない。身体で覚えるものだから、徹頭徹尾、自分でつかみ学び見つける、それだけが本物だ。プロは本物を見につけねばならぬ。高みに達した人はなかなか教えない。適切でない教えはマイナスになりがちな事をよく知っているからだ」、と語っている。
 そこには創造性育成に不可欠な要素がすべてある。現代は教育万能的信仰があって一から十まで教えないと非難されるが、彼らは、本物をつかみ実力をつけるには自分で苦労するしかない事を知っていて、その為にも教え過ぎるな!と言う。大いに同感である。

[アメリカ人の学生は事実を知ろうとして、そこから自分で考え読み取ろうとするが、日本人の学生は事実より答えだけ知って利用しようとするので間違った事を鵜呑みにする恐れがある。広中平祐]
 高名な数学者岡潔は普通の靴は脳に悪いからと年中ゴム長靴で通した奇人で、学生時代、数学を暗記してテストは易しい問題でなく難しい問題からとりかかった。大数学者に敬意を表して日本の学生の暗記流行は大目に見るとしても、考えないのは明らかによくない。米国人の学生はそんな事より人生を楽しく過ごしたいので好奇心や興味があると探求に乗り出す。成果もさる事ながらそういう意思が創造性につながる。
 スポーツでもそれに似た違いが見られる。「結果を出す」という流行語のように日本人は結果、勝敗が全てといえる。だが欧米人はプロセスを楽しむ。勝敗までのプロセスが試合だよ!途中の戦いや技術戦術の応酬、駆け引きが面白いじゃないか!と言う。
 それは教育をも左右する。創造力をつけるには、指導者が選手に自由に創意工夫させないといけないのだが、試行錯誤を伴うし、チームが負けると困るので、勝つ為に選手に枠外の自由を許さない指導者が多い。だから創造性豊かな日本選手は稀で欧米に及ばない。

[百聞百見は一験に如(し)かず!松下幸之助]
 失敗は創造性向上に役立つが、成功もむろん有用だから、スポーツでは経験から学ぶ事が大切だ。戦争ではもっと切実で、日本海海戦の名将、東郷元帥は、「戦いに勝つ方法は適切な時機をつかんで猛撃を加える事だ。その時機の判断力は経験で得られるもので、書物からは学べない」と語っている。
 少人数の部隊が不意に敵襲を受けた時、応戦しつつ隊長はどうするか判断を迫られる。だが、全滅しかねないピンチに陥ると、若い隊長は狼狽して適切に命令できなくなり、古参の部下が代わりに指揮して切り抜ける事があるそうだ。よく教育されていくら知識があっても実戦では裏付けになる経験がないと難しい。経験、創造力と精神力などがものを言う。
 日本海々戦の名参謀、天才秋山真之は、「作戦案出、実施方法までは頭脳が考えるが、これを水火の中で実施するのは頭脳ではない。性格だ。平素からそういう性格を作らねばならない」、と説いている。
 サッカーの場合、たぶん真っ先に闘志満々の性格が浮かぶと思う。だが冷たく見える青白い炎の方が実は真っ赤に見える炎より熱いという事もある。冷静と勇気、度胸だろうか。

[フットテニス!実戦的練習が全てだ!]
 1980年、全米テニス決勝はボルグとマッケンローが死闘4時間、マッケンローが優勝したが、痛快なハプニングがあった。
 ボルグが強打した瞬間、ラケットが折れて飛んでしまった。球は相手コートに入り返球が来たが打ち返せない。歯がみしたボルグは何と!インサイドで見事にボールを相手コートに蹴り込んだ。これにはアッと驚いたが、それを見たマッケンローは流石、問題児!わざわざラケットを置いて蹴り返しボールは満員の客席に飛びこんで場内はドッと湧いた。
 歴史に残る珍プレーだが、それ以外は滑りこんだり、倒れながら打ち返したり必死で秘術をつくした真剣勝負!そんな中でユーモラスなプレーが自然に生まれるのだから素晴らしい。とっさの即興性、遊び心というか、遊びから生まれた本場のスポーツなればこそで羨ましく思った。スポーツと呼ばれてはいるが生真面目な体育、学校教育的運動競技が実体の日本ではあり得ない、もしやった日には、ふざけるな!と非難轟々だろう。
 世界的名選手、ボルグは北欧生まれの独学で、「コーチや教科書に頼るな!自分の感覚にしがみついてそれを生かせ!私は9歳から壁を相手に自分自身をコーチとして教育神話に勝った。皆、形式練習をしたがるが、テニスはゲームだ。ゲームスタイルで戦う練習でないと上達はない。実戦的練習が全てだ!」、と語っている。まさしく真理である!

☆習う、なぞる、真似るだけでは、弟子は師匠の半芸! 中村翫右衛門
☆教わった事しかしないのでは師匠を越えられない。飛躍があるから進歩が生まれる。稚拙であっても自分で考えなあかん!梅棹忠夫
posted by HFC at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記