2011年11月07日

58 チームの攻守練習

[初めに選手ありき!]
 昔から日本の教育は基本重視でサッカー教育も基本練習に熱心で随分時間をかけた。でも練習で上手くできた選手たちが試合になるとなかなか思うようにプレーできなかったので、練習不足、ファイトがないと叱られてしぼられた。
 だが私が従来と違う方法で育成してみると、原因はそういうことではなかった。サッカーはテニスなどと違って敵とじかに接触して戦うのに、必要不可欠な1:1やミニゲームといった肝心の戦いそのものの練習が殆どなかった為だということがわかった。
 それに、サッカーはチームスポーツだからというので、初めにチームありきで、選手は指導者が指す将棋の駒として軍隊さながら兵士のように指令されてプレーしてきたが、それは日本式のサッカーであって、もともと欧州で生まれたサッカーはそうではなかった。
 選手たちは日本のように指導者の指示を頭脳に入れるけれども、試合が始まると勝利を目指してもっと自由に、たとえ幼少でも彼らなりに自ら考え判断工夫して独りで、或は味方と協力してプレーしてチームの戦いを織り成していく。それがサッカー本来の姿なのである。
 指示は無論必要だが指令どおりではまずい事もある。指示に縛られないでとにかく自分で考え判断していかないと上手く戦えない。結局、選手たちがそうして自主的に考えてプレーして試合を進めないといけないのだから、私に言わせれば、初めに選手ありきであって、子供たち一人一人をそれが出来る選手に育成しなければならないのである。
 そこで枚方FCでは従来と違う育成法をとり、試合に近い実戦的練習を重視して基本技でも敵をつけて練習させて試合で活用できるようにして、1:1や3:2、ミニゲームなども試合中のような場面設定で、選手が自立して自ら臨機応変に状況に対応し判断工夫して局面を打開して試合を進める事ができる実戦力を身につけるように図った。
 こうすると試合に即したプレーを磨きチーム的な指導もできるので、指導者にも都合がいい。だがそんな育成法は当時どこもやってなくて十年一日のように伝統的練習と指導の繰り返しだから異端視され、サッカーは個人でなくチームでやるものだとか、1:1ばかりだ、ゲームをやらせておくだけか、などと避難された。197、80年頃の事であった。

[チームの攻撃練習]
 攻撃陣対守備陣で練習する場合、守備陣が強すぎて攻撃陣が歯が立たないようだと練習にならない。それで先ず攻撃陣を育ててある程度力がついてから守備陣にかかる。攻撃陣が強い場合は守備陣は頑張れば力がつくのでこちらはそれで良い。
◇ ミニゲームは工夫すると極めて有効な練習法だ。現代サッカーでは選手は攻守両方が出来ないといけないのだが、ミニゲームは試合以上に攻守両方を練習できる。攻撃法を知ると守備に、守備法を知ると攻撃に役立つ。真剣に研究的に練習すると力がつく。
練習法74.(基本的戦法や約束事)先ず相手なしで攻撃練習。次ぎに弱い相手とやる。例えば、二軍の最終ラインを相手に攻撃練習をして、できるようならレギュラーの最終ラインを相手にする。次は二軍の中盤守備陣を追加→レギュラーの中盤に変え→紅白試合へと進める。プレーを適宜中断し攻守両面で注意指導。少し弱いチームと対外試合で試す。
 基本的注意点は、前もって状況や周りを見て考えておく。ボールによる。ワンタッチ・コントロール。パス・アンド・ゴー。サポートとフォロー、パスと動き、再度チェンジ、緩急をつける、もっとボールを動かす、ドリブルの使い方、配分、チャンス作り、敵の弱点をつくなど。

練習法75.(攻撃法を指定)例えば、逆襲速攻、サイド攻撃、中央攻撃、ダイレクトパス多用、ロングパス、ハイクロスとヘディング、オーバーラップ、逆へ逆へ揺さぶるなど。
 先ず攻撃だけを相手なしで練習してから守備陣を入れる。守備は軽い妨害で始めて、出来具合を見て次第に強く。ある程度できたら攻撃陣対守備陣で指定した攻撃による得点だけ認めてゲーム的に。ミニや紅白で指定以外の得点は0.5とか、ルールを決めてもよい。

練習法76.(局面的、局地的に)目的は試合前後の強化、弱点修正、追加学習など。試合中の一場面を設定し練習してから、敵を入れて妨害を強めていく。例えば次のように、
◇ キーパーがボールを捕ったら、蹴らないでバックに投げて、中盤を経て前線へ素早くつなぐ、シュートで終わる。それを多用することにして紅白やミニゲームをやる。
◇ 後方からボールをもらった中盤がトップへパス、トップがバックしたのを、トップか、走り出る他の味方へパス、シュートで終わる。この得点だけ認めてゲーム。
◇ タッチライン沿いにいろんなサイド攻撃、中央攻撃、中央を攻めて手薄になった敵のサイドを突く、その逆、繰り返しなど。その得点だけ認めてゲーム。

練習法77.(パスゲーム)
a. 紅白戦をツータッチ、スリータッチで。競り合いでボールタッチの回数が増えても仕方がないが、余分なボールタッチ、ドリブルは反則。ダブルパス(往復パス)をしたら3回目は他の選手にパスしないと反則。厳しくとること!
b. ゴール得点なしで8回パスが続いたら1点。ダブルパスは1回と数える。
c. 1チームはツータッチ、1チームは自由だがドリブルは1人かわしたらパス。

練習法78.
a.(条件付き得点で紅白戦やミニゲーム)次のうち、2、3指定したプレーからの得点 だけを認めて。ラストパス、ワンツー、バックパス、パスをスルー、縦パス、裏を狙うパス、オーバーラップ、ラングシュート、ヘディング、センタリング(折り返し、中継ぎあり)など。指定以外の得点を0.5点にしてもよい。
b.ミニゲームでチームそれぞれに違うものを指定して。

練習法79.
a. 指定された選手1人だけが得点できるミニゲーム。相手チームには秘密で開始。ただし密着マーク、ポリスマン禁止。チャンス作りに知恵を働かせること。指名以外の選手の得点を0.5にしてもよい。難しかれば指名選手の得点を2点にしてもよい。
b. 得点者を2人指名して。

練習法80.(いつもとメンバーを変えて紅白やミニゲーム)長所や適したポジション、新たな連係プレーなど発見もある。一軍、二軍混合で編成。
a. 攻撃陣チーム:守備陣チーム。中盤選手はどちらかに入る。
b. 右サイド:左サイドで。
c. 人間関係を良くする為の組み合わせで。

練習法81.(変形ピッチでゲーム)
a. ピッチの縦を半分くらいに縮めて得点力アップ。人数を減らしてやる。攻撃法や得点法を指定してもよい。
b. ゴールを2個づつ両コーナー近くに置いて、どちらに得点しても良い。逆サイドの状況に着目してサイドチェンジを多用すること。
c. ゴールラインなしで小ゴールの裏からもシュート得点できることにしてミニゲーム。

練習法82.(スタミナ強化)
練習場を広く人数を少なくする。例えば正規の広さのピッチで7:7や5:5、時間を短く疲労度をみて交替。

[水溜まり、泥んこや雨中での試合] 
 細かい足技、ドリブルは使わない方がよい。ボールを持たないで早めに離せ!細かい緩いパスは止りやすいので駄目!バックパスは危険で禁止!縦や斜めのパスを味方の足元でなく前方に送り走り込め!敵の取りにくい所、敵の間、背後を狙って敵を背走させろ!足首に力を入れて普段よりも強く蹴れ!
 ボールのコースに早く入って身体の正面に来るように迎えに行け!最後迄ボールを見つめてプレーして、執念深くボールを追え!ボールは思いがけなく止ったり滑ったりする。相手がミスすることも多いから、相手がボールを処理するに決まっている時でも、最後まで諦めないで追いすがり突っ込め!腰を低く膝を曲げてバランスよく基本に堅実に!

[チームの守備練習]
 攻撃練習の際に守備練習も行う。システム、マークとカバー、選手間の距離間隔、横や前後の連係、プレーのスピードアップ!先手必勝!ボールへのスタート、詰め寄り方、機敏なタックル。味方の不在や抜かれた場合、スペースへの対策などを75、78やいろんな紅白、攻撃守備、ミニゲームで練習する。目的は守備陣作り、反省、弱点の改良強化など。対外試合は同程度の相手から始めて強い相手に進む。
練習法83.(数的劣位での守備)最終ラインだけで、1人減らして、中盤選手をすくなくして。

練習法84.(逆襲防止)敵陣内で攻撃中にボールを奪われた設定で、フォワードはボールを持った敵のバックにロングパスを出せないように正面を塞いで食い止める。ボールを取り返したらシュートへ。フォワード側が多勢に無勢の1:2、2:3なども。

練習法71.(コーナーキック)第54回で既述。

練習法85.(フリーキック)キック地点がゴールから25m以内なら壁を作る。ゴールポストのすぐ内側へボールが跳ぶコースを空けないよう注意して作ること!
 ゴール正面中央から蹴る場合、壁でゴール全体を完全に隠すか、キーパーがキックを見る為に壁の中央に隙間を作る。前もって、誰が並ぶか、並び方を決めて練習しておく。
 攻撃側は2人キッカーが出て、1人が蹴るように見せて走り抜け、あとの選手が続いて蹴ることがある。右利きと左利き、ゴール右隅に蹴るのと左隅といった組み合わせが多い。
 味方が壁の隙間を塞いで、キックした瞬間、よけたり、壁の前で動いて惑わしたり、壁の外前方にパスして味方を走り込ませたりする手もある。キーパーがボールを弾いたりこぼしたり、ポストやバー、壁に当たって跳ね返ったり、混戦になったり、いろんなことが起こるので、集中して素早くボールに直行しなければならない。研究工夫が必要だ。

[キーパー]
 一般に行われているキーパーの練習以外のことをあげておく。動いているキーパーは弱いので、原則として、敵のシュート寸前に止って構えること!
練習法86.(ポジショニング)キーパーは、ゴールに対して様々な角度と距離の地点からのシュートを防ぐために、キック地点とゴール中央を結ぶ線上を素早く前進して、ボールがゴールインできるシュートコースの角度を狭めて、キックまでに止って身構える。
 ただし高いボールが来そうなら前進してはいけない。出過ぎたらバックする。
(練習)3人くらいが次々にペナルティエレアの内外のいろんな距離や角度の地点から、フリーキックだけでなくドリブルやラストパスからのシュートを行う。キーパーは左右の得手不得手やドリブル接近への対策などをプラスしてポジショニングを練習する。

練習法87.(ゴールに向かって独走してくる敵に対して)上記のようにシュートコースを塞いで前進して、敵の足元のボールにとびつく。手で取れなくても身体を横たえてボールを足かどこかに当てて防ぐ。でなければ、ある程度前進してキックまでに止って構えて防ぐ。普段から練習し検討して止る地点を決めておく。股間を抜かれるな!
(練習)a.攻撃側の選手が30m前からドリブル独走、キーパーは前進して防ぐ。ドリブルしながらボールを流し込むのと、しっかり踏み込んで蹴るシュートを使い分ける。
b.ドリブルでキーパーに近づき1:1でかわしてシュート(そういう約束で)。キーパーは抜かれないようシュートされないようにくい止める。
c. ゴールへ近くへいろんなボールを出して、攻撃側とキーパーが競り合う。

[ペナルティキック 攻撃側について]
 PKで得点できる能力のあるキッカーにとって一番大切なのは、時間をかけて冷静になって自分を信じて得点だけに集中することだろう。
 見ていると、落ち着きのない、急いでるようなキッカーは失敗する。ゆっくりボールを置いて、考えながら後退して気持ちを落ち着ける。ボールとゴールしか見てはいけない。(キーパーも目に入るがあまり気を取られない方がよい)。キーパーに狙いを読まれないように、何処へ蹴るかしっかり狙いを定めて、絶対入ると自分に言い聞かせてから助走を始める。絶対に急いではいけない!
 大体、ゴールポストの1m内側を狙う。左右の上の隅はベストだが、ボールを上げるとオーバーしやすいので低く蹴るのがよい!

練習法88.左に何本、右に何本と決める。試合でPKを蹴るときと同じ気持ちと段取りで狙い定めて蹴らないといけない。いつ蹴っても、狙いどおりにキーパーが取れない所へ少なくとも8割は蹴ることができるように!右側も左側も狙えること。
 ボールとゴールの狙い所を助走する時から間接視して蹴ることもできる(すすめはしないが)。とにかく自分流のPKを編み出して自信を持つこと!
☆ PK戦は前もって練習してキッカーと順番を決めておく方がいい。当然、成功率の高いPKの好きな選手で、嫌いなものは外す。度胸のある、少々鈍感なくらい心臓の強い方がよい。但し、その試合で好調であること。ミスしたり出来が悪いものも外す。

◎ 私は高二の時、10番をつけた左インナー(攻撃的中盤)で、西日本インターハイ準決勝で主将や上級生を差し置き、監督にPKを蹴れと言われた。だがボールはバーすれすれでオーバー。1:1の同点で終わり(当時はPK戦は無かった)、運良く抽選勝で決勝に進めたのでホッとした。(決勝で敗れたが、創部以来、最初で最後の準優勝を果たした)
 翌年は高三でセンターバック。インターハイ全国大会で主将のためPKを蹴ったが、またもやオーバー!今度は0:0の抽選負け。相手は格上の強豪浦和で、全員よく頑張ったから私さえPKを入れれば勝ったのに、皆に申し訳なくて合わす顔がなかった。
 キーパー練習なら難しい隅でも思う所へ蹴ることが出来るのに、試合のPKになると、ゴールが狭く見えて何処へ蹴っても止められそうな気がした。低く蹴れば良いのになぜ上げるように蹴ったのか?今でもあの場面を思い出す。19歳で思慮不足、未熟であった。PK失敗はトラウマになって一生残る。悔いのないようにベストをつくして欲しい!
posted by HFC at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記