2011年11月23日

教育改革、実戦力、自発創造、選手主導

[サッカーはゲーム(遊び)だ!]
 最近、海外で日本サッカーに対する評価が高くなってきたが、振り返ると、1936年、ベルリン五輪でスウェーデンを破って世界を驚かせたものの、第二次世界大戦で中断し戦後再開した頃はひどかった。1960年、来日したクラマーコーチは、日本のコーチは石器時代だと酷評。欧州遠征では、欧州では子供の頃サッカーで遊んで上手くなるのに、日本選手は皆同じで型どおり、教育臭が強いと異端視され、ブラジルに至っては、サッカーに先生要らない、教えて上手くなるものではない、と放言した。
 本場の欧米から見ると、半世紀前、戦後の日本は極東の田舎者で体よくバカにされたわけだが、改めて見直すと彼らはサッカーと教育の本質を的確についていた。
 日本には独特の事情もあった。球技は格闘技などの闘争スポーツと違って完全なゲーム(遊び)だ。無論ふざけたわむれる類いではない。欧州で民間の遊びから発展したサッカーは、勝利を目指し智能を傾けスキルを発揮して真剣にプレーするゲームで、世界各国に伝わり面白いのでたちまち民間に普及して根付いた。だが日本だけは違ったのである。

[スポーツ文化と教育文化]
 何しろ日本は文明開化の明治時代までまげに和服の古来スポーツと無縁の国であった。渡来したサッカーは初めて見る人々の目にどう写ったのだろう?ともあれ、やがて学校教育に組み入れて(明治37年、1904以降)、体育と運動部活動にしたので全国に広まった。ところが教育に遊びは禁忌だ。当然、渡来した本家欧州サッカーから本質であるゲーム(遊び)性が無視されて無くなってしまった。そして和魂洋才的に日本化されて武道の伝統に染まり、教え込んで鍛える学校サッカーという欧州サッカーとは異質で独自の日本式教育サッカーが順調に定着していったのである。
 戦後、欧州のクラブに似た社会体育の少年サッカークラブが追加されたが、主力はやはり野球同様、各地の中学高校から大学に至る学校サッカーである。いまだに何かにつけて文武両道という決まり文句が誇らしげに出てくるのを見ても、野球、サッカーなど日本の少年スポーツが教育文化であって、欧米的な楽しむスポーツ文化でない事がわかる。

[なぜ遊びのサッカーから好選手が育つのか?]
 学生時代、私は蹴球部で練習量の割に上達しないように感じていたが、少年サッカー教育を始める事になって(1969年)、改めて考えてみると、かつて欧米で上記のように言われたのも尤もであった。
 本来、何事でも教育された者は遊び育ちよりも優れていないとおかしい。当時の日本のように充分教育された選手の方が劣るとなると、教え方や内容、本質に誤りがあるか、教えられない事が多いのか、遊びに利点があるか、教育に欠陥があるに違いないのである。
 その点、私が少し足技が出来たのは8歳からサッカーで遊んだお陰で、母校神戸三中では昼休みに皆サッカーで遊び相当上手い素人が何人もいて、後に大学サッカーで有名選手になったのもいたから、欧米の遊びで上達するという話は間違いなく本当であった。
 よく言われるが、勉強はさせられるのでなく、自分からするのでないと駄目だ。サッカーも同じで、遊びのサッカーは面白いので皆自分から進んでやる。幸いサッカーは遊びで身につけたものが本物のサッカーでも通用する。大好きになり熱中して工夫するから、好きこそものの上手なれで上達して好選手が育つ。教育者は遊びを不真面目と嫌うが、皮肉にも教育者が望む本人自らの意思による自主自発自得は遊びの大きな利点なのである!
 それに、欧米サッカーがTVでも見られるようになると、日本よりも上手いし真剣に戦っていても堅苦しくない。自由にプレーしていて面白い。という事はサッカーは本場でやっているようにもっと自由で面白いものの筈だ!これから同じ育てるなら子供たちをあんな面白いサッカーが出来る選手に、怒ってしごくのでなく楽しく育てたいと思った。
 でも肝心の遊びのサッカーはないし、そんな事は従来の日本の教育ではとても無理だから、これ迄の教育をすべて白紙に戻して、練習法などを自分で考案して育てるしかない。
 それには以前から思っていた事だが、サッカーは試合(ゲーム)なのだから、もっと敵と戦う試合の一部や試合に近いミニゲームとか実戦的な練習を数多くしないといけない。そうすれば子供たちは遊びのサッカーのように面白いので、必ず熱中し自分で考え工夫し自然に自立して向上するに違いないと考えて、ゲーム的実戦的練習、いわばサッカーそのものをトレーニングの主体にした。これは日本では全く異端の教育で、サッカーの本質である自立創造性を育成する初めての試みであった。

[時間は短くても試合中のような練習を!]
 来日したクラマーさんは、どこでも連日同じ基本練習を繰り返しているのを見て、ドイツの子はすぐ飽きるのに日本の子は真面目に続けると驚いた。だが、練習法が悪いので肝心の試合で上手くいかない。
 例えば、前から来るボールのトラップ練習しかしないものだから、試合でいろんな方向から様々な速さ高さのボールが前後左右に来るのをうまく処理できないのだ。
 そこで試合中のようにいろんなボールが来るのを処理して次のプレーに移ったりするのを飽きないよう短時間集中して練習し、ミニゲームや敵をつけて実戦的に練習したところ試合で様々な対応や複合プレーが出来るようになった。これは是非全国でやって欲しい。

[基本練習の次は必ず実戦的練習!]
 練習でできても、試合で敵を恐れず慌てず上手くプレーするのは難しい。敵が向かってきた時にボールをトラップする場合、敵より早くボールにさわって、敵をよけてトラップしたり、トラップしながらかわしたりしないといけないのだが、普通、練習しているのは敵なしでの基本動作に過ぎないので、それだけでは敵がからむ、いわば戦場では通用しない。対敵動作には実戦感覚や敵を計算に入れて判断工夫する戦術力が要る。サッカー頭脳を良くして実戦的技能を身につけないといけないのに、戦う為のトレーニングが欠けていたのである。
 そうした実戦力を身につけて試合で臨機応変、的確機敏にプレーできるようになるには相当経験が必要で、適切な練習法と基本の数倍の練習量が要る。そこで、戦いに慣れる為に、基本が大体できるようになったら必ず敵をつけて妨害されても出来るように実戦的に練習し、1:1や3:2などもゴール得点ありにして自由なミニゲームも続けた。すると効果覿面!全員が上達してサッカー頭脳が良くなり実戦力がついた。これでコツがわかったので基本技練習の次は実戦力をつける為に必ずゲーム的実戦的練習をする事に決めた。
 一般に練習量重視だが、量よりまず内容が問題で練習法次第なのに、従来は柔道でいうと投げの型ばかりで1:1のような試合、戦いの練習が殆ど無くて試合から遠すぎた。
 遊びのサッカーが盛んな欧米の子供は基本下手でもゲームは我流なりに上手い。遊びが自分で見て感じて判断工夫し頭脳を使って敵と戦うゲーム的実戦的練習になっているからだ。日本の子供は逆で、基本は型どおりで上手でもゲームになるとどうしたらいいかわからない。サッカーで遊ばないし、基本練習と試合との間に必要なゲーム的実戦的練習が殆ど行われていない為である。何年英語を勉強しても会話ができないのと同じだ。
 幼少時代にはゲーム的実戦的練習や良質の遊びのサッカーが必要不可欠で、10年ややるとやらないのとではユースで差が開く。大人の日本選手が練習上手の試合下手(中田)なのも、オシムが、「日本選手は考えるのが遅い、プレーし動きながら瞬時に考え判断しろ!」、と言ったのも、ゲーム的実戦的練習をあまりしないで育った為であった。

[面白いのが一番!]
 学校で放課後にやる部活動と違って、社会体育に属する民間の枚方FCでは、一旦帰宅してから夕方練習に来て夜終わるので夕食も遅い。勉強できないからなかなか大変で、小六、中高生の練習でも週三回がやっとであった。それでも来てくれた子供たちは偉かったが、ご両親がよく許してくれたものだと今でも感謝している。
 始めるのが中学生は17時頃、高校生は18時過ぎてからで約90分、最後の30分がミニゲームで、シュートなどやるとメインの練習は25分もないので、練習量は毎日やる部活の半分以下、有名校の10分の1と言われた。それでも練習量の割に上手かったのは自由度が高く面白くてやる気になり、いやでも上手くなれるように考案した練習法の賜物であった。
 脳科学では、面白いと脳が活性化すると言う。何を今さらで、昔から勉強も仕事も面白いのがいいに決まっている。だからそうすればいいのに、指導者が嫌ってしない。常識、先入観や伝統など全て白紙に戻して物事を見ないと、本当に大切な事がわからず想像力が働かない。白人もそうだが黒人に至っては面白くないと絶対やらない。サッカーが面白いから彼らは子供の頃から皆やって上手くなるわけで、基本的な発想の転機が必要である。

[サッカーノート]
 試合前、注意事項をノートして選手たちに話した。ノートを使うので珍しがられたが、頭が悪いので書かないと忘れるのだ。試合中も気づいた事、後半予想される敵の変化など書き込むが、ハーフタイムは短いので是非注意したい事から1、2と順番をつけておいて指示した。それでもたまに後半、指示が効いて好転する事がありマジックと言われたりしたので、よその一流プロコーチがこっそり聞きに行ったが、別段これといった指示はなかったというから面白い。読売クラブの選手たちがコーチに、参考に枚方を見ておけと言われて、うちのユースの試合を見に来たこともあった。

[試合は選手主導!自作自演!]
 でも試合前に作戦指示を殆どしない事もあった。幼い頃からいろんな攻守を練習して、選手たちが状況に応じて自分で考えて試合やミニゲームを進めるように育ててきたので、対外試合も大抵いつもどおりにすればいけたからだ。
 試合前に必ず指導者は戦い方を指示するが、選手は前もってそれを練習しておかないと、言われただけでは出来ない事もある。指示しても状況は変わる。選手の好調不調、相手の出方や予想外の出来事もあり、指示が裏目に出る事さえあるし、行動すべてを指示する事は不可能だ。試合中、横から指示しても充分にはできない。
 だから監督、コーチが試合の筋書き、脚本を指示しても、試合が始まると、指示された方針、作戦やプレーを頭に置いた選手たちが現場で、状況や敵味方の出方などに応じてその都度、各自判断し知恵を働かせ協力して戦っていくしかないというのが真相である。極言すると、作戦や指示は不可欠でも、試合は選手の自作自演だから、指導者は幼い頃からそうした選手主導ができるサッカー頭脳の良い選手に育てていかねばならないのである。
 ところが、世間もサッカー界も試合は指導者が選手に指示してやらせるものだと思い込んでいる。これはサッカーに限らない。何の教育でもそうなのだが、特に少年サッカーは、子供だから無知だからと、何もかも教えて言うとおりにさせるものだから、子供たちは教わり指示されないと行動しなくなる傾向があり、自主自発性のない大人になりがちだ。正しい教育は逆で、なるべく教えないで失敗してもいいから自分でやらせて、失敗したら反省改良させて、先ず自立自発の癖をつけることだ!
◇ 自作自演の育て方だが、例えば、シュート得点が下手なのは、先ず第一にシュート練習がキック練習になってしまっていて、選手がどうしたら得点できるか、一回一回真剣に、試合でしっかり狙ってシュートするのと同じ気持ちで練習してないからである。
 味方にシュート、得点させるチャンス作りも拙い。殆どの選手はただ攻めているだけで、シュートチャンスを作ろうと考えてない。これではシュートチャンスを作れと叱っても無理だから、選手がそうせざるを得ない練習法が必要になる。
 練習法78、79は選手がチャンス作りを考え工夫しないと得点できないので力がつく。無論教えて上手にしてやるのも結構だが、選手がやってみると面白くて、いやでも上達してしまう練習法をコーチが考案工夫するといい。コーチの腕の見せ所である。

[指示は命令ではない!試合は指導者と選手の合作だ。オシム]
 戦前は軍国主義一色で、中学生以上を次の日本を守る軍人にする教育が行われ、教練という授業があり将校が指導した。今の人に説明してもわからないけれども何もかもすべて軍隊式で、日本のサッカーの軍隊のように指導者が命令して選手がそのとおりに行動しないといけない伝統は軍国主義教育がもとになったと思う。スポーツ界は伝統や観衆を素直に踏襲するから、戦後生まれの人々は、サッカーとはそういうものだと思って継承してきたわけで、流石に時代の流れで少年サッカーは昔ほどではないけれども、やはりまだ自立度も自由度も低く選手たちは非個性的である。
 こうした日本式サッカーの在り方に対して、かつてバイスバイラーは、ドイツのクラブに移籍してきた日本選手が日本でのように指示どおりにプレーして皆に合わせていると、「命令で動くだけの兵士のような選手はいらない。もっと自分で考えてプレーしろ!」と注意し、オシムは、「軍隊でないのだから、指示は命令ではない。試合は指導者と選手の合作だ」と明言した。日本は欧州サッカーと重要な根本的なところが違うことがわかる。
 国内ではどうかというと、岡田前監督は、短いパス、連動を指示すると、選手がそのとおりにするのはいいが、それしかやらなくなるので困る、とこぼした。
年少の頃、指導者に言われたとおりにしないといけないと努力していた選手も、大人になると流石に大なり小なり自分の考えで行動するようになってはくるが、指示は守らないと指導者に悪いと気をつかって指示どおりにしたり、顔色をみて彼が気に入らないプレーを控えたりする。実際そうしないと怒る指導者が珍しくない。

[判断の自由を奪ってはならない。ザッケロー二]
 私は大学時代、どの程度自分の思うようにしてもよいのか、いつも迷っていて納得できない指示のために失敗したこともあった。
 21歳、左フルバックで、関学の有名な日本一の右ウイング、木村現をマークして前半完封した。だがハーフタイムに監督は、相手の横に並んで前でボールを取れ!と言った。それでは負けると思いつつ後半指示どおりにしたが、結局、中途半端になり木村は無得点で終わったが、その為に浅くなった最終ラインを右インナー長沼に突破されて失敗した。
 監督はそんな悩みなど知らない。積極的にやれと言ったが、いつでもそうしろとは言ってない。失敗しそうならするな!自分で考えろ!と言うだろう。確かにそうするべきで私が未熟だった。でも指示に反してでも自分が良いと思うプレーをやってのけるのは中田や本田のような選手か、鈍感な選手で、普通はそうするべきだとわかっていても指示にこだわる。そんな主体性のない者は落第だと言われるだろう。しかし、選手は自発自動、試合は選手の自作自演、選手主導であるべきだから、私は全国の指導者にお願いした。
☆ 是非選手たちに幼少の頃から、「指示は命令ではない。だから指示を頭に入れた上で、  自由に自分で考え判断工夫してチームのために一番良いプレーをすればいい」、と明言して欲しい。そうすれば選手たちはじりつして自由に生き生きプレーするようになる。
☆ その点、ザッケローニ監督は先日、選手に指示してから、「指示に縛られないで自由 に考えてプレーしてくれ」、と話したので、彼らはこれ迄のように監督に気を使うことなく充分能力を発揮して素晴らしい試合をした。かつて無かった事であった。
☆ なでしこジャパンもまた自作自演、選手主導でWカップに優勝して国民を感動させた。

[アマは考えているうちにチャンスを逃す。プロは逃さない。考えるのはあとだ。J.バーナード] 
 考えろ、とよく言われる。自分が直面する状況や敵味方に対してどうするかという事と、チームの事を考えるのだ。(例.皆元気がなくなり足が止った。もっと動こうと率先して動く。今は猛攻に耐える時だ、もっとボールを動かそうなど)
 また思考判断工夫などひっくるめて、「考えろ」とよく言う。頭脳を使えということだ。
◇ 直感(直観)思考とデスク思考というものもある。前者は、見て感じて、とか突然閃く(ひらめく)、浮かぶ、思いつく、といったものだ。試合中、思考や判断選択、閃きなどでプレーするが、ここというところでは、見た瞬間、感じた瞬間、咄嗟に、殆どそれと同時に反応し行動する事が多い。一瞬で消えるチャンスだと、言葉的な閃きでプレーしたのでは間に合わない。算盤が上手くなると、数字を見た瞬間、指が動くのと同じだ。
◎ (私の変わった体験)ある試合でハーフラインを超えた所で上手くボールを貰えたので独走に移りながら、どうシュートしようか?と考えた時、キーパーが少し前に出ているのが見えた。そして次の瞬間、身体が勝手にロングシュートしてしまってボールがバーすれすれでゴールインした事があった。ちゃんと狙ってキックしているのに頭はまだ考え中で自分が蹴ったのがわからなかったのである。こんな頭脳が考えるのと、考えと違う身体のプレートの同時進行は(77歳で年のせいか)初めてで吃驚した。猫が驚くと飛び上がるように、サッカー選手も不意のタックルを一瞬かわしたり、チャンスと直感した(であろう)瞬間にシュートしたりする。通常大脳が考えてその命令で身体が行動するのだが、別段、無我夢中でなくても、緊急時には大脳の総司令部の指令なしで無意識に身体が反射的に行動するわけである。
  人間の頭脳は複雑なためにかえって邪魔する事もある。シュートは絶対得点するぞと強い気持ちでやるべきだが、力みすぎて失敗することもある。少し前から心構えをして平常心で冷静に、または集中して無心でやるとよく成功するのは、練習と経験で身につけた身体の正確なコンピューター的活動を、大脳の不安、緊張などの感情が邪魔しないからだろう。

[教育改革、もっと自由に、自主自立、自発創造!]
 本来欧州では3B(ブレイン、ボールコントロール、ボディバランス)を選手とプレーの根幹としてきた。日本は心技体!頭脳を使うのは当たり前、戦術力は技のうちで、智能よりも精神力を重視する。
◇ 日本の理工以外の教育は寺子屋の昔から教わって覚える学習で知識習得である。もともと自発創造力や表現、コミュニケーションの能力が乏しいのに、画一的教育でその育成が欠けている。おまけに◯×テストがそれに大きく輪をかけたので、育った卒業生は内向きで再教育しないと社会で役に立たない。まして国際的には通用しない。
 そこで最近日本の会社は外国人を採用しだした。理由は海外進出、国際化だけではない。何と!思考発想力を重視する教育を受けたアジアの大学の卒業生には日本より優秀な若者が大勢いるからだという。その上、韓国や中国は日本で創造的仕事をした優れた人材を引き抜いて、数年かけて技術やアイディアを盗み終わったら解雇する。ひどいものだ。
 出る杭が打たれ外圧でないと変われない日本に、いつかこういう時代が来ると思っていたが残念だ。教育改革が必要なのはサッカーだけでなく、日本の教育全体なのである。
◇ 日本独自のサッカーも幼時から自由にプレーさせて伸びてくるものが本当の日本人のサッカーで、少年たちはもっと上手く強くなれるのにそういう育成は行われた事がない。
 今欧州でプレー中の日本選手たちは、日本と違って、指示がどうあれ自ら自由に考えて全能力を発揮して自己表現しないと認めてもらえないと知って健闘し、日本にいた頃よりも逞しく工場している。削って揃え合わせて整える日本と、加えて華麗に楽しむ欧米との文化の違いもあるが、サッカーは本来そういうもので、日本にいたらできなかっただろう。

[ドリブル突破に挑戦しよう!]
 代表の香川選手がドリブルで数人の中に入ってかわして行くのが注目された。子供の頃のストリートサッカーがもとになっていると言う。私も高校時代にやったが、敵も当たりにくいのでリズムに乗ると案外上手くいくから、少年たちはもっとドリブル突破に挑戦するべきだ。少年時代だからこそ冒険できる。指導者は無闇に禁止しないで長い目で見てやって欲しい。

[意外性のプレーをやろう!]
   私は意外なプレーやアウトなどを使って悪口を言われたりした。67歳で、止ってシュートするな!と怒鳴られた。少年サッカーの指導者でもあるその選手に他の試合で、ゴール前でドリブルで2人かわしてチョンとラストパスしたら、彼は受けかねてシュート出来なかった。意外なパスを受けた事がなかったのだろう。
 選手が指導者が許したプレーしかできないのでは意外性のプレーはあり得ないから、そうして育った日本選手は大抵知識として知っているだけだ。大人になって急にやっても味方が受けてくれない。敵だけでなく味方まで意表をつかれる。だから効果があるのだが。
 こういうプレーは欧米のように、子供の頃から互いに自由に意外な面白いプレーをしたり、受けたり合わせたりして大きくなるのが一番いい。だが日本の指導者にはそういう事を知らないし考えることもない。第一、遊び心がない。自由な変わったアイディア、プレーを認めて奨励する事が不可欠で、勝手な事をするな!生意気な!と怒鳴ると永久に駄目だ。早い話、Wカップの澤選手のアウトのシュートを子供がやったら怒るのではないか・・・

[結話]
 サッカーには職人的スキルが必要で、日本人は職人向きだ。こまめで繊細、器用でもっと上手くなれる。白人、黒人に劣る筈がない。幼少からサッカーのゲームに浸り自由に楽しく育ち少し大きくなってから教える。但し、やらせる他発他動教育は止めて、選手が自発自動するゲーム的実戦的練習本意の体験教育で、創造力、実戦力を育成する。
 そうして子供たちがゲームが面白くてサッカー大好きになり自然に自立し創意工夫して自得向上するように育てれば、外向きで自由に能力を充分に発揮し互いに長所や発想を認め活かし合う個性豊かな好選手になる。人間形成や人生にも役立つ。そうして底辺が変わりレベルアップすれば日本サッカーが変わる。面白くなければサッカーでない! 
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2011年11月07日

58 チームの攻守練習

[初めに選手ありき!]
 昔から日本の教育は基本重視でサッカー教育も基本練習に熱心で随分時間をかけた。でも練習で上手くできた選手たちが試合になるとなかなか思うようにプレーできなかったので、練習不足、ファイトがないと叱られてしぼられた。
 だが私が従来と違う方法で育成してみると、原因はそういうことではなかった。サッカーはテニスなどと違って敵とじかに接触して戦うのに、必要不可欠な1:1やミニゲームといった肝心の戦いそのものの練習が殆どなかった為だということがわかった。
 それに、サッカーはチームスポーツだからというので、初めにチームありきで、選手は指導者が指す将棋の駒として軍隊さながら兵士のように指令されてプレーしてきたが、それは日本式のサッカーであって、もともと欧州で生まれたサッカーはそうではなかった。
 選手たちは日本のように指導者の指示を頭脳に入れるけれども、試合が始まると勝利を目指してもっと自由に、たとえ幼少でも彼らなりに自ら考え判断工夫して独りで、或は味方と協力してプレーしてチームの戦いを織り成していく。それがサッカー本来の姿なのである。
 指示は無論必要だが指令どおりではまずい事もある。指示に縛られないでとにかく自分で考え判断していかないと上手く戦えない。結局、選手たちがそうして自主的に考えてプレーして試合を進めないといけないのだから、私に言わせれば、初めに選手ありきであって、子供たち一人一人をそれが出来る選手に育成しなければならないのである。
 そこで枚方FCでは従来と違う育成法をとり、試合に近い実戦的練習を重視して基本技でも敵をつけて練習させて試合で活用できるようにして、1:1や3:2、ミニゲームなども試合中のような場面設定で、選手が自立して自ら臨機応変に状況に対応し判断工夫して局面を打開して試合を進める事ができる実戦力を身につけるように図った。
 こうすると試合に即したプレーを磨きチーム的な指導もできるので、指導者にも都合がいい。だがそんな育成法は当時どこもやってなくて十年一日のように伝統的練習と指導の繰り返しだから異端視され、サッカーは個人でなくチームでやるものだとか、1:1ばかりだ、ゲームをやらせておくだけか、などと避難された。197、80年頃の事であった。

[チームの攻撃練習]
 攻撃陣対守備陣で練習する場合、守備陣が強すぎて攻撃陣が歯が立たないようだと練習にならない。それで先ず攻撃陣を育ててある程度力がついてから守備陣にかかる。攻撃陣が強い場合は守備陣は頑張れば力がつくのでこちらはそれで良い。
◇ ミニゲームは工夫すると極めて有効な練習法だ。現代サッカーでは選手は攻守両方が出来ないといけないのだが、ミニゲームは試合以上に攻守両方を練習できる。攻撃法を知ると守備に、守備法を知ると攻撃に役立つ。真剣に研究的に練習すると力がつく。
練習法74.(基本的戦法や約束事)先ず相手なしで攻撃練習。次ぎに弱い相手とやる。例えば、二軍の最終ラインを相手に攻撃練習をして、できるようならレギュラーの最終ラインを相手にする。次は二軍の中盤守備陣を追加→レギュラーの中盤に変え→紅白試合へと進める。プレーを適宜中断し攻守両面で注意指導。少し弱いチームと対外試合で試す。
 基本的注意点は、前もって状況や周りを見て考えておく。ボールによる。ワンタッチ・コントロール。パス・アンド・ゴー。サポートとフォロー、パスと動き、再度チェンジ、緩急をつける、もっとボールを動かす、ドリブルの使い方、配分、チャンス作り、敵の弱点をつくなど。

練習法75.(攻撃法を指定)例えば、逆襲速攻、サイド攻撃、中央攻撃、ダイレクトパス多用、ロングパス、ハイクロスとヘディング、オーバーラップ、逆へ逆へ揺さぶるなど。
 先ず攻撃だけを相手なしで練習してから守備陣を入れる。守備は軽い妨害で始めて、出来具合を見て次第に強く。ある程度できたら攻撃陣対守備陣で指定した攻撃による得点だけ認めてゲーム的に。ミニや紅白で指定以外の得点は0.5とか、ルールを決めてもよい。

練習法76.(局面的、局地的に)目的は試合前後の強化、弱点修正、追加学習など。試合中の一場面を設定し練習してから、敵を入れて妨害を強めていく。例えば次のように、
◇ キーパーがボールを捕ったら、蹴らないでバックに投げて、中盤を経て前線へ素早くつなぐ、シュートで終わる。それを多用することにして紅白やミニゲームをやる。
◇ 後方からボールをもらった中盤がトップへパス、トップがバックしたのを、トップか、走り出る他の味方へパス、シュートで終わる。この得点だけ認めてゲーム。
◇ タッチライン沿いにいろんなサイド攻撃、中央攻撃、中央を攻めて手薄になった敵のサイドを突く、その逆、繰り返しなど。その得点だけ認めてゲーム。

練習法77.(パスゲーム)
a. 紅白戦をツータッチ、スリータッチで。競り合いでボールタッチの回数が増えても仕方がないが、余分なボールタッチ、ドリブルは反則。ダブルパス(往復パス)をしたら3回目は他の選手にパスしないと反則。厳しくとること!
b. ゴール得点なしで8回パスが続いたら1点。ダブルパスは1回と数える。
c. 1チームはツータッチ、1チームは自由だがドリブルは1人かわしたらパス。

練習法78.
a.(条件付き得点で紅白戦やミニゲーム)次のうち、2、3指定したプレーからの得点 だけを認めて。ラストパス、ワンツー、バックパス、パスをスルー、縦パス、裏を狙うパス、オーバーラップ、ラングシュート、ヘディング、センタリング(折り返し、中継ぎあり)など。指定以外の得点を0.5点にしてもよい。
b.ミニゲームでチームそれぞれに違うものを指定して。

練習法79.
a. 指定された選手1人だけが得点できるミニゲーム。相手チームには秘密で開始。ただし密着マーク、ポリスマン禁止。チャンス作りに知恵を働かせること。指名以外の選手の得点を0.5にしてもよい。難しかれば指名選手の得点を2点にしてもよい。
b. 得点者を2人指名して。

練習法80.(いつもとメンバーを変えて紅白やミニゲーム)長所や適したポジション、新たな連係プレーなど発見もある。一軍、二軍混合で編成。
a. 攻撃陣チーム:守備陣チーム。中盤選手はどちらかに入る。
b. 右サイド:左サイドで。
c. 人間関係を良くする為の組み合わせで。

練習法81.(変形ピッチでゲーム)
a. ピッチの縦を半分くらいに縮めて得点力アップ。人数を減らしてやる。攻撃法や得点法を指定してもよい。
b. ゴールを2個づつ両コーナー近くに置いて、どちらに得点しても良い。逆サイドの状況に着目してサイドチェンジを多用すること。
c. ゴールラインなしで小ゴールの裏からもシュート得点できることにしてミニゲーム。

練習法82.(スタミナ強化)
練習場を広く人数を少なくする。例えば正規の広さのピッチで7:7や5:5、時間を短く疲労度をみて交替。

[水溜まり、泥んこや雨中での試合] 
 細かい足技、ドリブルは使わない方がよい。ボールを持たないで早めに離せ!細かい緩いパスは止りやすいので駄目!バックパスは危険で禁止!縦や斜めのパスを味方の足元でなく前方に送り走り込め!敵の取りにくい所、敵の間、背後を狙って敵を背走させろ!足首に力を入れて普段よりも強く蹴れ!
 ボールのコースに早く入って身体の正面に来るように迎えに行け!最後迄ボールを見つめてプレーして、執念深くボールを追え!ボールは思いがけなく止ったり滑ったりする。相手がミスすることも多いから、相手がボールを処理するに決まっている時でも、最後まで諦めないで追いすがり突っ込め!腰を低く膝を曲げてバランスよく基本に堅実に!

[チームの守備練習]
 攻撃練習の際に守備練習も行う。システム、マークとカバー、選手間の距離間隔、横や前後の連係、プレーのスピードアップ!先手必勝!ボールへのスタート、詰め寄り方、機敏なタックル。味方の不在や抜かれた場合、スペースへの対策などを75、78やいろんな紅白、攻撃守備、ミニゲームで練習する。目的は守備陣作り、反省、弱点の改良強化など。対外試合は同程度の相手から始めて強い相手に進む。
練習法83.(数的劣位での守備)最終ラインだけで、1人減らして、中盤選手をすくなくして。

練習法84.(逆襲防止)敵陣内で攻撃中にボールを奪われた設定で、フォワードはボールを持った敵のバックにロングパスを出せないように正面を塞いで食い止める。ボールを取り返したらシュートへ。フォワード側が多勢に無勢の1:2、2:3なども。

練習法71.(コーナーキック)第54回で既述。

練習法85.(フリーキック)キック地点がゴールから25m以内なら壁を作る。ゴールポストのすぐ内側へボールが跳ぶコースを空けないよう注意して作ること!
 ゴール正面中央から蹴る場合、壁でゴール全体を完全に隠すか、キーパーがキックを見る為に壁の中央に隙間を作る。前もって、誰が並ぶか、並び方を決めて練習しておく。
 攻撃側は2人キッカーが出て、1人が蹴るように見せて走り抜け、あとの選手が続いて蹴ることがある。右利きと左利き、ゴール右隅に蹴るのと左隅といった組み合わせが多い。
 味方が壁の隙間を塞いで、キックした瞬間、よけたり、壁の前で動いて惑わしたり、壁の外前方にパスして味方を走り込ませたりする手もある。キーパーがボールを弾いたりこぼしたり、ポストやバー、壁に当たって跳ね返ったり、混戦になったり、いろんなことが起こるので、集中して素早くボールに直行しなければならない。研究工夫が必要だ。

[キーパー]
 一般に行われているキーパーの練習以外のことをあげておく。動いているキーパーは弱いので、原則として、敵のシュート寸前に止って構えること!
練習法86.(ポジショニング)キーパーは、ゴールに対して様々な角度と距離の地点からのシュートを防ぐために、キック地点とゴール中央を結ぶ線上を素早く前進して、ボールがゴールインできるシュートコースの角度を狭めて、キックまでに止って身構える。
 ただし高いボールが来そうなら前進してはいけない。出過ぎたらバックする。
(練習)3人くらいが次々にペナルティエレアの内外のいろんな距離や角度の地点から、フリーキックだけでなくドリブルやラストパスからのシュートを行う。キーパーは左右の得手不得手やドリブル接近への対策などをプラスしてポジショニングを練習する。

練習法87.(ゴールに向かって独走してくる敵に対して)上記のようにシュートコースを塞いで前進して、敵の足元のボールにとびつく。手で取れなくても身体を横たえてボールを足かどこかに当てて防ぐ。でなければ、ある程度前進してキックまでに止って構えて防ぐ。普段から練習し検討して止る地点を決めておく。股間を抜かれるな!
(練習)a.攻撃側の選手が30m前からドリブル独走、キーパーは前進して防ぐ。ドリブルしながらボールを流し込むのと、しっかり踏み込んで蹴るシュートを使い分ける。
b.ドリブルでキーパーに近づき1:1でかわしてシュート(そういう約束で)。キーパーは抜かれないようシュートされないようにくい止める。
c. ゴールへ近くへいろんなボールを出して、攻撃側とキーパーが競り合う。

[ペナルティキック 攻撃側について]
 PKで得点できる能力のあるキッカーにとって一番大切なのは、時間をかけて冷静になって自分を信じて得点だけに集中することだろう。
 見ていると、落ち着きのない、急いでるようなキッカーは失敗する。ゆっくりボールを置いて、考えながら後退して気持ちを落ち着ける。ボールとゴールしか見てはいけない。(キーパーも目に入るがあまり気を取られない方がよい)。キーパーに狙いを読まれないように、何処へ蹴るかしっかり狙いを定めて、絶対入ると自分に言い聞かせてから助走を始める。絶対に急いではいけない!
 大体、ゴールポストの1m内側を狙う。左右の上の隅はベストだが、ボールを上げるとオーバーしやすいので低く蹴るのがよい!

練習法88.左に何本、右に何本と決める。試合でPKを蹴るときと同じ気持ちと段取りで狙い定めて蹴らないといけない。いつ蹴っても、狙いどおりにキーパーが取れない所へ少なくとも8割は蹴ることができるように!右側も左側も狙えること。
 ボールとゴールの狙い所を助走する時から間接視して蹴ることもできる(すすめはしないが)。とにかく自分流のPKを編み出して自信を持つこと!
☆ PK戦は前もって練習してキッカーと順番を決めておく方がいい。当然、成功率の高いPKの好きな選手で、嫌いなものは外す。度胸のある、少々鈍感なくらい心臓の強い方がよい。但し、その試合で好調であること。ミスしたり出来が悪いものも外す。

◎ 私は高二の時、10番をつけた左インナー(攻撃的中盤)で、西日本インターハイ準決勝で主将や上級生を差し置き、監督にPKを蹴れと言われた。だがボールはバーすれすれでオーバー。1:1の同点で終わり(当時はPK戦は無かった)、運良く抽選勝で決勝に進めたのでホッとした。(決勝で敗れたが、創部以来、最初で最後の準優勝を果たした)
 翌年は高三でセンターバック。インターハイ全国大会で主将のためPKを蹴ったが、またもやオーバー!今度は0:0の抽選負け。相手は格上の強豪浦和で、全員よく頑張ったから私さえPKを入れれば勝ったのに、皆に申し訳なくて合わす顔がなかった。
 キーパー練習なら難しい隅でも思う所へ蹴ることが出来るのに、試合のPKになると、ゴールが狭く見えて何処へ蹴っても止められそうな気がした。低く蹴れば良いのになぜ上げるように蹴ったのか?今でもあの場面を思い出す。19歳で思慮不足、未熟であった。PK失敗はトラウマになって一生残る。悔いのないようにベストをつくして欲しい!
posted by HFC at 10:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記