2011年10月21日

57 守備の戦い方(2)

[最終守備陣が前進している時の逆襲速攻に対する守り方]
 チームが敵陣内で攻撃持続中、こちらの最終守備陣はハーフラインの辺に前進していて、最終守備ラインの後方には味方ゴール前まで広いスペースがある。この状況で敵にボールを奪われると、相手にとって逆襲速攻の絶好のチャンスだから、素早く攻撃に移り一気にトップへロングパスを送るか、中盤にボールを送り2、3本パスをつないで、こちらの守備陣が帰って守りを固める迄にゴールを急襲しようとする。そこでこちらはそうさせないように即座に攻守を切替えて、次のように、全員が手分けして速攻を阻止して守備固めをしなければならない。
 1.ボールを奪われた瞬間から攻守を切替えて、ボールを取り返す。
 2.同時に、敵の速攻を食い止め前進を遅らせて、味方が帰陣する時間を稼ぐ。
 3.滴がゴールを襲う迄に味方が多数自陣に帰り守備を固め最終ラインを整える。


[選手の行動]
1.(攻守を切替え、ボールを取り返す)ボールを奪われた瞬間から、奪われた選手と近くの選手はすぐさま取り返しにかからねばならない。
(突破と危険なパスを阻止)同時にその際、ドリブル突破を阻止し、突破につながる危険なロングパスや縦パスを敵のトップや味方の最終ラインの後方に送らせないように、ボールを持つ敵の正面へ正面へと立ち塞がって食い止める。ボールを取れなければ前進を阻み横這いさせ、味方がボールを取れそうな方やタッチライン側へ追い詰める。
 フォワードも最前線の守備者になってボール奪取は無論のこと、粘り強く戦って速攻を食い止めねばならない。臨機応変に味方と連係しワンサイドカットから味方にパスを取らせるペアの守りや、パスコース限定を繰り返し追い込んで取るグループの守備も必要だ。フォワードが素早く守るとチームは随分助かるのでしっかり守備もしなければならない。

2.(速攻を妨げ遅らせて時間稼ぎ)そうして前方の味方がボール奪取にかかると同時に、その横や後方の中盤など他の選手は素早く近くのパスを受けそうな敵をマークして、ボールが敵に渡らないようにインターセプトやパスを受けるところをタックルし、味方をカバーしてこぼれ球などを拾う。もしパスが敵に渡ってしまったら、当然、前進を阻止、危険なパスを出させないようにしてボールを奪取するために戦う。
 そうして敵の速攻をスローダウンさせて、味方が帰陣して守りを固める時間を稼ぐ。早くボールを取り返して攻撃に転じたいけれども、まだ後方の守備陣が整ってないのに無理な挑戦をして抜かれて速攻されるような失敗を絶対にしてはいけない。

3.(帰陣、後方の守備固め)その間、他の選手、特に最終ラインの守備者は敵がシュート圏に着く前に帰って、ゴールを背に敵の前線の選手をマークしてしまわねばならない。
◎(必ず戦いながら後退!)と言っても、ただ速く走って帰るだけではいけない。敵味方の行動、所在を見てボールを状況に注意し、帰りながら危険な敵、近くの敵をマークしロングパス、スルーパスを警戒防止し、互いにカバーし合って、決して敵から離れすぎたり無抵抗で下がったりして敵を野放しにしたり、後退し過ぎてスペースを作ったりしてはならない。だがこの原則を忘れたり怠る選手が少なくない。知らない選手もあるようだ。
 後退を急がねばならないけれども、全員がボールと状況や動きなどを見ながら、次を読み予測し協力し合って危険なパスやドリブル、動きに備え、それを封じつつ戦いながら後退するのである。同時に、また次ぎ次ぎに気を配りつつ、起こりそうな幾つもの事を考え予想し読みながら判断して行動する事が必要なので、頭脳を使って感覚を鋭敏にして知恵を働かせて適切にプレーしないといけない。だから選手たちのプレーにそれぞれの感覚、智能の差が出る。利口で気が利く抜け目のない選手になって欲しい。

4.(最終守備陣完成)帰陣した味方は速攻して来た前線の敵と同数でマークするだけでなく数的優位にしたい。それには中盤の味方が最終守備陣に加勢して、適宜フォワードも下がって敵の中盤に当たらねばならない。そうして最終守備陣が完成したらゴールを守りボールを奪うために積極的に戦う。
◎以上の守備法は前線でボールを奪われた場合だけではない。中盤でボールを取られた時も守備の原則は同じで、中盤の選手は直ちにボールを取り返す為に戦い、攻撃を遅らせる。フォワードも引き返して守備に加わる。試合中、何処であろうと、敵にボールを奪われた時に、全員が直ちに機敏に攻守を切替えて行うべき基本的守備法なのである。


[最終守備ライン完成]
 敵の進攻を防ぎながら後退したら、敵をこれ以上侵入させてはならない最終ラインをペナルティラインの外側と決めて、ペナルティエレアに入れないように守る。選手たちがそうして攻撃を防ぎながら味方ゴールの方に戻ってくると、広がっていた味方の戦線は縮小しゴールを中心とする扇形、じょうご型の守備陣ができて、選手たちは隣との距離感覚を短縮し、前後に重ならないようにしてカバーし合って、敵が割り込めないように隙間を狭めて、スルーパスやシュートされたボールを通さないようにする。
 敵をゴールに近づけるな!シュートが難しい外側へ追い出せ!ゴール正面を厚く、ボールを持つ敵とゴールとの間に、キーパーの他に2人味方がいるように守れ!
 外側、タッチライン、ゴールライン沿いは守りが手薄になるので要注意である。


[敵の攻撃法を早く察知して対処!]
 前もって相手チームの情報が入っていると試合前に対策を立てられるが、わからない場合は試合が始まってからになる。既にわかっていても、実際に対戦すると違う事もあるので早くわかる方がいい。特に、敵がどうやって突破して得点しようと狙っているのか?大抵それが得意な戦法だから早くわかると守り易い。
◇ 快足の選手がいて縦パスやロングパスで走らせるとわかったら、当然、彼をマークし、味方をカバーして、彼とスペースにパスを出させないように守る。
◇ サイド攻撃ならウイングへのパスを出させない。相手が中へ切り込むのが得意なら外へ追い出して中へ入れない。中へ来ない縦にしか抜かない選手なら、正面を塞げばいい。止められなかった場合は、フィニッシュは直接シュートかラストパス(バックパス)からのシュート。センタリングなら受けてシュートだけでなく、折り返しや中継ぎ、こぼれ球プッシュ、混戦などがあり得ると想定し、何が起ころうと冷静機敏に防がねばならない。
◇ パスとドリブルでつないで来る場合、敵が走るのがスペース作りやおびき出し、注意をそらす囮だったり、裏狙いやパスのスルーもあるので、意外なプレーにも備えること。
◇ 点取りやなど有力選手に対して当然厳しくマークしカバーして、彼にパスが行かないように警戒する。リーダー的選手も自由にプレーさせないよう、ボールが渡らないようにしなければならない。彼らに絶えず注意をはらって見失ってはならない!


[チーム全体として]
 守備には安全秩序が必要なので、展開したチームの真ん中の縦軸になるトップ、中盤、最終ライン、それぞれの中央を空けてはいけない。空いたら誰かがすぐに埋めること。選手は攻守で目の前の敵や状況に対処するだけでなく、他の敵味方も見て、チームの為に自分がどうすべきか考えてプレーしなければならないのである。
◇ WMのようにスイーパー、リベロ無しの3バックシステムでは、1人しかいないセンターバックが味方をカバーする為に中央を空けることがあるが、外側や中盤の味方がそれを引き受けて彼を中央に留めるべきだ。4バックでセンターバック2人なら問題ない。
◇ 敵を味方の守備の弱い方へ行かせるな!例えば左のバックが弱いとそこを攻めさせないようにする。敵の強い方、例えば右の敵が強いとボールがそちらへ回らないように防ぐ。
◎攻撃にはチームそれぞれのやり方、リズム、スピード、慣れた連係、呼吸の合わせ方などがあるので、相手が強くても、守備で全員がしっかりマーク、カバーして忠実につきまとって根気よく妨害を続けると!相手の調子が狂って力を充分に出せなくなる事があるから、しつこく粘り強く戦い抜くことだ!決して諦めてはいけない!これはレベルの高いチームに対する重要な基本的守備法である。


[システム]
 ベルリン五輪前にオフサイドルールが変わり、最終ラインが2バックから3バックになりWMシステムができた。その後、攻撃力が強くなりスイーパーやリベロを置いたりして4バックが主力になったが、最近、再び3バックが使われている。但し3トップ対3バックのWMと違って、今のは最終ラインの中央を3バックが守って、空いているタッチラインに近い両端の前よりをサイドバック(ウイングバック)が守る。
 攻撃陣は3トップが少なく殆ど2トップで、フォワードはセンター、左右ウイング、どこでもできること!最終ラインや中盤の両端の選手は守備だけでなく、随時、上がってウイングをやる。従って、少年選手はオールラウンドプレーヤーを目標に、ミニゲームや紅白戦で前後左右、攻守のいろんなポジションを体験してこなせるようになって欲しい。


[少人数のミニゲームから次第に11:11へ!]
 いろんなシステムがあって、強いチームを作るために選手たちをそれぞれ適性や長所を生かして、チームの弱点や被害を最小限にするように配置する。マイナスの面から言うと、攻撃力はともかく、守備が弱いと困る。特に穴があると敗因になりやすい。味方がカバー出来るのは2つまでで、3つ以上は出来ない。当然、先ず守備を強化するので少年サッカーでも大人と同じ4バックが多い。
 だが初心者や小学生の場合はシステムもさることながら、それまでの育成法が問題で、従来のように普通の練習だけで実践力のない選手にいきなりシステムとポジションを与えて試合に出して、ポジショニングやプレーを教えて指令どおりにプレーさせるのはよくない。
◎ 小学生は自然な発育と、選手としての成長とチームの成長とが調和して助長し合うように、先ず1:1と3:3や4:4くらいのミニゲームから始めて、だんだんゲームの人数を増やしていって、全員がゲームに慣れて、オールラウンドの攻守と動きや位置の取り方など、経験と実践力をある程度身につけてから、11:11に移る。それでいけるようなら、指定したポジションでプレーするシステム・サッカーに入る、というのが自然な正しい育成法である。


[小学生はWMシステム!]
 システムとしては、小学生の場合、最終ラインはまだ3人で充分守れるので、子供の心身や能力に合うWMシステムがよい。初めから4バックにすると、チームは勝っても選手個人は楽だから力がつかない。1人で頑張り苦労してこそ力がつく!助け合いも覚える。バック同士の助け合いは無論のこと、全員守備でトップが前線で守り中盤が最終ラインを助け協力しあってこそチームワークだ。
 枚方FCではWMでチームとしての攻守の基本を身につけて将来への土台にして、折りを見てMM(3232)システムでツートップも経験させた。中学生になると、424、433、442システムをやって経験を積ませた。但し、最終ラインはスイーパーやリベロは無しで、互いにカバーし合うのである。
◎ (選手が自主的にシステム変更!)そして、試合中、状況や形勢変化から選手各自が判断して、必要なら最初に指示したシステムにこだわらないで、自主自発的にいつでも臨機応変に適切なシステムに変えて戦えるように育成していったところ、上手く出来るようになった。といっても、今度は3バックだ、4バックに変えろとやるのではない。幼い頃からの全員攻撃、全員守備などの経験から頭脳を働かせて必要に応じて適切に応援したり止めたりして結果的にそうなるわけである。でもよそのコーチはよく、いろんなシステムに見えるが、枚方のシステムは何ですか?と不思議そうに尋ねるので面白かった。


[キーパーはPKで山をかけてはいけない!]
 (キーパーの他のプレーや練習については次回にのべる。)PKに対して山をかけて防ぐキーパーが多い。例えば、キッカーが右に蹴ると山をかけて、蹴る瞬間、右に跳んで防ごうとする。
 これは、キッカーがゴールポストの内側すれすれに入るように快速球を蹴ると、キックしたのをキーパーが見てジャンプを始めるまで0.3秒かかるので、ボールは速いから蹴ったのを見てから跳んだのでは先にゴールインしてしまう。
 それでは絶対に間に合わないから、キーパーは左右どちらかに山をかけて、キックと同時か少し前に、ボールを見ないで跳ばないと防げない、という理論に基づいている。
 しかし実際は全キッカーがこの理論どおりに蹴るわけではない。外したり緩かったり、バーやポストに当てたりする。名手バッジョ(伊)やジーコでさえWカップで外した。
 それに以前、テレビでアルゼンチンの選手は、キーパーがどちらかに跳ぶのを見てから反対側に蹴ると言った。そうなると山をかけるキーパーは馬鹿だ。事実、南亜Wカップで日本のキーパーが完全に早く跳ぶのを見てから、パラグアイの選手は落ち着いて逆に蹴って日本が負けた。あれでは誰でも得点できる。彼は流石に反省したのか、アジア大会では山をかけなかったので大成功!韓国のキーパーは山をかけて失敗した。
 その為にキッカーは、このキーパーは横に跳ぶと読んで真ん中に蹴ることさえある。だが、これはキーパーが山さえかけてなければ防げる。つまり、普通に守れば、PKで真ん中に蹴るのは蹴り損ないと読み違いでキッカーのミスなのである。だからキーパーが山をかけてわざわざ蹴る前に横に跳んでそんな得点をプレゼントしてはいけない。
◎ 以上の理由から私は少年キーパーに、「PKは真ん中だけ止めろ!山をかけるな!」と言ってきた。どちらに蹴るか読めた場合でも、跳ぶのが早すぎてはいけない!気持ちで負けるな!絶対止めるぞ!と気迫充分に集中してボールを見つめ、蹴られたボール目がけてベストを尽くして防いでこそ、よしんば阻止できなくても味方は納得する。
 コーチはキーパーがPKで山をかける事を禁止すべきである。
posted by HFC at 10:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記