2010年11月22日

教程の考案

[欧米人は試合(ゲーム)から、日本人は練習からサッカーに入る]
 この警句は慣習の違いだけでなく両者の文化、サッカーの歴史や本質を物語っている。
欧米の子供は先ず道路や空き地でストリートサッカーをして遊び、小学生になるとクラ
ブに入り好きな者はサッカーを続けて大人になる。もともとサッカーはそうした遊びか
ら自然発生して発展進化したものだから、正式の試合も子供の遊び(ゲーム)とつなが
りがある。  

 だが古来、スポーツが無かった日本ではサッカーは東京で英国人が教えたのが始まり
で(1873)、欧州と違って遊びやクラブでなく、学校サッカー部で教わり練習するもの
になった。ところが厳しく鍛えられるのに試合になるとなかなか上手くプレー出来なか
った。  
 
 というのは、日本一を狙うような強化チームは別だが、大多数のチームは伝統的に走
るのと基本的練習ばかりで殆どゲーム的な練習をしないで試合に出たから、柔道で投げ
の型の練習だけで1:1の乱取り稽古を殆どしないで試合で戦うようなもので、いくら怒
鳴られて頑張っても練習したプレーが試合で通用しなかったのである。  

 その点、欧米の少年は逆で、幼少から試合を見て、遊びでも練習でもゲームをやるの
でゲーム慣れしているから、基本練習は退屈してさぼっても、ゲーム的な練習や試合に
なると自分で思うように出来るので、喜び勇んでやる気になっていきいきプレーする。  
 
 まさしくゲームから入るのと練習からのと差異である。学校で英語を何年習っても英
会話が出来ないのに、向こうで生活すると出来るようになるのと同じで、サッカーはゲ
ームなのだから日本のように基本的な練習ばかりでは駄目だ。ゲーム、つまり試合は無
論のこと、遊びや練習を含めて敵との戦いを相当体験しないと実戦力がつかないのであ
る。  

 極端な例が南米で、日本は明治時代に渡来したサッカーを学校教育に入れて実直に基
礎から始めたが、同じ頃、南米ではやってみると面白いものだから教育も基本もない、
子供の遊びと大人の草サッカーというまるごとサッカーでゲームに明け暮れるうちに、
まるでサッカーが遊びから進化した過程を辿るように上達して欧州を凌ぐ勢いになった。
だから彼らはサッカーは教えたって駄目!遊んでいると上手くなるんだ、と日本を馬鹿
にした。

[幼少年はゲームで始めよう!]  
 戦後、欧米を見習ってクラブが出来たが、実体は学校サッカー部と大同小異で少年サ
ッカー育成に成功した私の経験から直言すると、日本サッカーも始まってから百年を越
えたので発想を転換して、欧米のように幼少年はゲームからサッカーに入り、いきなり
英会話的にゲームを始めてずっと続ければいいのである。  

 練習日の最後に3:3、4:4などミニゲームをして適当に相手を変える。ダンゴなって
もいずれほぐれるから、そのうちに幼いなりに、「自分で周りを見て考えろ、攻めるだ
けでなく危ない時は皆で守れ」、などと教えて、慣れたら人数を増やしてもいい。ボー
ルつきなど基本練習は飽きないように短時間で次に移る。そうすれば子供たちは面白い
のでサッカー大好きになり必ず自分で努力して工夫するようになる。これがコツである!

[目標とする選手像]  
 小学三年生頃から教育を次第に本格化して、どんな大人の選手に育てるか、目標の選
手像から逆算して、指導育成方針や練習法などを割り出す。 例えば、日本選手の欠点
(圧迫妨害下でボールを持てない、1:1の弱さ、自主性、創造力、度胸の不足、突破得
点力の無さ)を無くして、欧米選手の長所(周りを見て意図を持ってプレーしミスを恐
れずトライする、創造力、意外性、得点力、1:1の強さ、フェイント、ずるさ)を加え
た選手を目標にすれば新しいタイプの選手が生まれる。

[技術戦術修得の順序]  
 サッカー教育を幼時に始めるのは早く大人のサッカーを仕込む為ではない。妨害下の
ボール扱いや1:1は幼時からボールに馴染まないと上達しないし、従来の基本技以外に
もっといろんな技能が必要で、感覚や智能面も独特で早くからゲームに慣れて実戦的経
験を積み、判断工夫力、打開力をつけて一人前になるのに10年以上かかるからである。
その際、次のような理由で優先順位に従ってかからねばならない。

1. ドリブル、ボール扱い、1:1などの感覚、細かい技術戦術を体得するには幼少から
始めて実戦的練習をずっと続けないといけない。大人になってからでは遅い。

2. 幼少では無理で少し成長してからの方が上達し易いものがある。例.短いパスは小
学生でできるが、ロングパスや広い展開攻撃は総合力から中学生の方が良い。

3. Aを身につけるのに必要な事がB習得の邪魔になる場合はBを先にする。例.ボールを
離すパスはボールを持つ一連の技術(ドリブルなど)の会得にマイナスに働き易いので、
ボールを持つ方を先に始める。守備は自然に近いゾーン・ディフェンスが先、マン・ツ
ー・マン・ディフェンスを後にする。並行して練習する場合は先にやる方に重点をおく  

各種技能は優先順位、難易度の順に練習すると年齢的成長に調和して身につき易いので、
原則として練習は容易なプレーから始めて難しいプレーに進む。その際、敵なしで練習
して多少できるようになったら、実戦的練習に移り敵ありで練習して実戦力をつける。

1. 練習の進め方、組み立て方止まっていてプレーから、走りながら動きながらのプレ
ーへ、それをスピードアップ。フリーでプレーから、敵に軽く妨害されながらのプレー
へ、妨害を強めより実戦的に。単一のプレーから、数種目の複合プレーへ、それを敵あ
りで実戦的に。

2. 種目別の練習(原則ABの要領で)ボールを持つプレーから、ボールを離すプレーへ、
パスへ進む。(自分でやり抜く)個人プレーから、味方と組んでやる連係プレーへ(味
方を助ける、味方を利用する、味方を活かす、良いプレーをさせる)、さらに組織プレ
ーへ。ショートパスからロングパスへ。単発単純なパスから複数複雑なパスへ。ボール
・テクニックから、ボールなしのプレー(ポジショニング、パスを貰う動き、サポート、
フォロー、三人目、おとり、スペース作りの動き、マーク、カバーなど)へ。

◎ ドリブルとパス、個人プレーと連係プレーの練習を並行してもいいが、ドリブル、
個人プレーが上手くなるように。但しパスや連係の指導修得が遅れ過ぎてはいけない。

3.試合の一部を練習(特定戦法の実習、一場面の再現練習などを含む) 
1:1→2:1→2→3:2→3:3へ、さらに人数を増やして。 各選手共通のプレーから、
ポジション別のプレーへ。 ゾーン・ディフェンスから、マン・ツー・マン・ディフェ
ンスを加えた守りへ。 ミニゲームの人数を増やしていって11:11へ。 局地戦から広
く展開しての攻守へ。遅攻撃から速攻へ(逆でも可能だが)。
posted by HFC at 12:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記