2010年10月21日

少年期の育成構想

[同じ失敗を繰り返さないために]
 40歳で少年サッカー育成を始める時、学生時代、気をつかって能力を出せなかった後悔から、「彼らに自分の二の舞いをさせてはならない。スポーツは面白いからやるものだ。叱ってやらせるのではなく自由に楽しくのびのびプレーさせよう」、と決意した。だが従来の教育法では代わり映えしない。やるからには優れた個人技を持ち個性的で創造性豊かな、お互いのアイディアでこれまでと違う面白いサッカーを展開できる大人の選手になるように育てたい。そこで全て白紙に戻しゼロから出発して、欧米の遊びのサッカーや練習法などを参考に自分で考案工夫して育成していった。
 だが指示どおりにプレーするよそと違って、子供たちが自由にプレーし自らの裁量で試合を進めるのだから幼稚で初めは負けてばかり、馬鹿にされて随分異端視されたが、小学六年生頃から勝てるようになり、薄暗い照明下、長さ50米の狭いグラウンドで練習した苦労が実り中学生になると予想以上に上達した。ユースになると日本クラブユース選手権大会で、日本リーグ読売などのテストで選ばれて鍛えられたエリートのユースチームを破って優勝2回、準優勝2回!ユース代表も出て注目され、サッカー誌に、「独自の少年教育法は日本サッカーに光明を与えるだろう。疑う人は枚方へ行って教え子たちの創造力に溢れたプレーを見て頂きたい」、と絶賛された。恐らく前代未聞の記事だろう。
 マスコミの取材が続き協会や他のクラブから見学に来訪、少年サッカー界の第一人者、清水の堀田先生に日本サッカーの基礎を作ったと言われるやら大騒ぎで、サッカー誌に理念、練習法などを連載した。でもたまたまそうなっただけでもともと私には野心も功名心もない。いわば実験的育成で、ただ少年たちがサッカーが大好きになって思いきり上手くなって欲しかったのだ。お陰で育成法もわかったし信じ難い大成功で感無量であった。

[幼少年期は個人育成]
 子供は学校教育を受けて大人になり社会に出て働く。サッカー教育も同じように少年選手を18歳頃にどんな大人のチームに入ってもそつなくプレーできる選手に育てあげたい。技能には幼少で覚えないといけないものや習得順序もある。だからサッカーも学校教育のように易しい事から始めて小中高と成長とともに年齢相応に次第に難しい事を段階的に学習していくのが順当で、たとえチーム強化の為でもそれをしないで一足飛びに子供に大人のサッカーを仕込むのはよくない。
 ところが指導者の会合で私が、「少年期は個人育成」と言うと、「サッカーはチームスポーツだ。指導要綱でサッカーの授業でチームワークを教える事になっている。私は教育者だからチームを育てる。個人育成は間違いだ!」と即座に一蹴された。だが授業はさておき選手を教育するサッカー部やクラブはそれだけではなく個人の育成が不可欠だろう。
 すると今度は、「チーム育成が個人育成にもなる」と断言された。でも実際は指導者は強チームを作る為に必要な技能や攻守だけ懸命に仕込む。自分の考えでプレーすると叱られたりするので、教えられ命じられた攻守やポジションしか出来ない選手が多いが、試合は指示どおりにはいかないからそれでは無理で、大人になって困るのが目に見えている。
 サッカー選手は試合中、いつ何処でもどんな状況でも臨機応変にいろんな役割を演じねばならないので、独りでも対応打開できる優れた個人力、つまりもっといろんな技能や感覚、判断創造力などのサッカー頭脳とオールラウンド的攻守能力が必要で、それを体得するのは少年時代しかない。にも拘わらず従来の教育にはそれが殆ど欠けていたのである。
 それにサッカーが盛んな欧米の選手は幼少から沢山試合を見て目が肥えている。教える事ができない日常生活の智恵は教師なし学習といって子供が自ら経験で覚えるしかないのだが、サッカーも同じで、彼らは遊びとクラブで、必要だが教える事が出来ない感覚やずるさ、損得の駆け引きなどを体感し体得していくので、サッカーの実体が良くわかっている。これは遊びがなく教わるだけの日本選手の多くに無いもので矢張り身につけるべきだ。

[育成するのはチームプレーができる個人]
 個人というと勝手気ままな選手を想像されるが、私が言う個人はサッカー選手なのだから個人技、個人力をつけるだけでなく、当然、連係、組織プレーなどが全てできてチームの一員として活動できるように幅広くいろんな攻守とチームの戦法やポジションなどをこなせる選手に個人を育成するのである。
 教育サッカーの日本は初めにチームありきで、チームと個人は相反するもので両立できないという固定観念があるが、本場の欧米では強烈な個性の選手が個人プレーとチームプレーをうまく使い分け併用している。頭から個人プレーが非難排斥される事も無い。
 でも流石にプロは個人力の強い外国人選手を雇う。本当はどこでも上手で強い選手が欲しいのだから、そういう選手を育てればいいのに、大人になってからでは手遅れで、幼少からだと底辺もチーム一辺倒の教条主義で個人育成反対だ。一人ひとり優れてないと優秀なチームはできないので、個人育成は間違い無くチーム育成に役立つのに理解されない。
 私の少年教育は従来と逆で、チーム育成も個人育成の一環だ。子供たちは指示で行動させられるのでない。毎回やる自由なミニゲームで自然に攻守や味方との協力連係などを、実戦的練習で戦い方などを身体で覚えていく。試合ではそれぞれ自ら考えて行動するのでチームも年齢相応の幼稚なチームでスタートして、彼らの成長上達につれてチームも成長向上していくわけだ。教えたりアドバイスはするが、自発自得が原則で強制はしない。

[基本方針]
 目標の大人の選手像は冒頭に述べた。私の少年サッカー教育は個人育成で、スキル、実戦力とサッカー頭脳の能力、特に自立創造性の向上を図る体験教育である。
1. 選手は自立自発、自得創造!試合も練習も上からやらされるのでは駄目!自分から進んでやること!何事も受動(受け身)でなく能動(自発行動)で!
2. 試合も練習も少年たちが面白くできるのがよい!幼い最初からミニゲームを毎回やるとサッカー大好きになって自然に自立し自発的になり向上心が起こる。これがコツだ!
3. 選手主動!試合は選手が頭脳を働かせ協力しあって進めること!試合は監督と選手の合作(オシム)で、選手は指示に従う立場だが、試合中、指令どおりに実行するか否かは、選手が判断して決めること!その旨、指導者は了解して頂きたい。
4. 従って試合を自主的に進め得るサッカー頭脳の良い選手に育成する!教え過ぎ、過干渉は選手の自立を妨げて考え工夫しなくなるので禁止!野性、積極性もなくなる。
5. 選手は臨機応変に攻守両方が、単独でも、連係して組織でも上手くできて、どんなポジションでもこなせるオールラウンド・プレヤーを目指すこと。
6. サッカー選手はゲームの中で育つので、練習は全習(ミニゲーム、試合的実戦的練習)を多用!分習を従とする。技術戦術修得は優先順位で行い、次に実戦的練習で試合で通用するスキル、実戦力を身につける。(プレーでは技術、戦術、感覚、頭脳の働きなどが一体となって発揮されるので、別々でなく一体化したスキルとして身につけること)
posted by HFC at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記