2010年07月20日

選手は戦いの中で育つ

[実戦力をつけよう!]
 サッカーは相手に激しく当たられるので大変だ。一瞬を争うので冷静さを失いがちで、急ぐあまりよく自分で失敗してしまう。
 そこで枚方FCでは妨害されても慌てないでプレーできる選手になるために、先ず敵との戦いに慣れるように初心者から必ずミニゲームと1:1をやった。そして小学三年生頃から、心技体に智を加えたいので対敵動作、技能の習得と同時に、周りや状況を見て考え判断工夫してプレーする事を少しづつ教えて、それが、習慣になるように指導していった。
 ミニゲームや敵ありの実戦的練習を続けるのは、サッカーは試合なのだから、畳の上の水練でなく水中で練習しないと水泳選手になれないように、絶えず試合やミニゲームの中で敵と戦って成長していかないと本物のサッカー選手になれないからである。
 欧州でプレーした中田英寿は、「日本選手は練習では上手い。世界一だが試合では出来ない。技術を使えない。使い方を知らない」と言う。プレーで練習がわかる。毎日長時間練習するので敵なしだと上手いが、敵ありで練習しないから試合になると出来ないのだ。
 実戦的な事は教われば出来るというものではない。精神力や智恵、感覚、スキルなど試合に必要な技能の総合を実戦力と呼ぶと、試合で臆せず意図をもって活動できる実戦力は、結局、戦いを、それも長年無数に体験して身につけ自ら磨き高め強化するしかないので、幼少から試合とミニゲームや実戦的練習をいっぱいさせないといけない。
 本場欧米ではそれが自然に遊びとクラブで続けられてきたが、日本は輸入スポーツの為に体験教育の必要性がわからなくて殆ど行われなかった。この違いはいまだに大きい。

[指示は命令ではない。チームは軍隊ではない! オシム]
 試合中、選手は指導者の指示に完従しないで自分の考え判断でプレーしてよい。というよりそうしないといけない。
 例えばサイド攻撃を指示されたが、中央が空いているのを見つけたら素早くそこを突く。チャンスなのだから、指示になくても指示にそむいてでもチームの為に当然やるべきで、欧米ならサッカーで遊んでいる子供でもそうする。だが日本の少年サッカーではチャンスと気づいてもそうしないで、指示されたサイド攻撃しかしない選手やチームが少なくない。
 理想のチームを作りたい指導者は選手が指示以外のプレーをすると怒るから、少年選手は指示された事しかしない。そのため自由にチャンスを見つける、作るといった創造性、自分で創意工夫してプレーする能力がつかないので、大人になっても守備はともかく攻撃が下手で、特に得点が苦手だ。日本選手共通の弱点で少年教育の改善が必須である。
 それに型どおりの攻撃だけではなかなか守備陣を破れない。選手たちがそれ以外に積極的に突いたりかき回したりいろいろ攻撃を仕掛ける事が絶対必要なのである。1:1やロングシュート、ドリブルなどの個人力は強いほど良いし、組織攻撃も個人が上手くやってこそで、当然、選手の自由度を高め個人力をもっと強化するべきなのに力を入れなかった。
 選手は指示に従わないといけないので、どの程度自分の思いどおりにプレーしてよいのかよく悩む。大事な場面でそれでは駄目だからストレスを無くさないといけない。それには指導者の意識改革が必要で、指導者が選手を動かすのでなく、試合は選手が考えて進めるものだ、という事を幼少の頃からハッキリ教えて自立自発、創意工夫させて思いきり活躍出来るようにのびのび育てれば自由奔放にプレーして攻撃力が増すに違いない。

[昔からあった教えない教育]
 創造性という言葉はなかったが、自発自得の教えない教育は次のように昔からあった。今と違ってむしろ教育の本筋だったように思われる。
 ☆三度問われて一度答うべし。多言するなかれ!道元
 ☆言葉は八分にとどめて、あとの二分は考えさせよ!伊庭貞剛
 ☆何も教えないのが一つの教えだ。本当の芸は身体で覚えるものだ!内藤国秋
要するに昔も今も、やらされてでなく自ら努力しないと本物は会得できないのである。

[欧米では?」
 最近、日本が学ぼうとしているスペインではシステムなど子供に大人と同じ事を教えるが、大体欧米の小学生教育はのんびりしている。ゲームも11:11でなく少人数に制限しているところがあるが、中学生から大人とほぼ同じになる。
 しかし、向こうには私の言う子供を自立させる為にあまり教えないといった配慮はない。欧米は子供でも自我、個性が強くて自己主張する。幼いなりに考えて自己流にプレーするので、教わったとおりにしないとか指示をきかない子供が少なくないけれども、日本のように教えた為に自分で思考工夫する事をしなくなる子供はいないからだ。
 ☆ソフトボール女子代表チームの女性監督(中国から帰化)は日本選手が黙々と服従するので驚いた。中国人は黙っていない。必ず口々にやかましく自己主張するからだ。

[自発自得できる練習法が必要]
 教えないでゲームをさせるだけか、とよく言われたが、少年たちは、私が智恵を絞って、やればいやでも上達するように考案した実戦的練習が面白くて熱中し、自分で考え工夫して上達したのであまり教える必要がなかったし、サッカーは教えられない自得するしかない事が多いが、充分教師なし学習したから必要な事は大抵会得した。だから私が黙っているのに上手くなると不思議がる人もいた。
 とはいえクラマーさんも、教えないと年取ってしまう、と言ったように、全てを体験する事は出来ないので、サッカーも教えて選手が教わるとおりにして覚える普通の教育と、あまり教えないで選手が自ら考案工夫する創造性教育と両方必要で、私も併用した。
 例えば、アルゼンチンのコーチはタッチライン沿いからセンタリングする日本選手を見て、「我々は切り込んでゴールライン沿いからゴール前か、マイナスの得点に結び付くラストパスを送るように教えている。日本は何故教えないんだ!」となじった。それはそのとおりで、常識的な事が高校生でまだ出来なければ教えて練習させないといけない。

 ☆ドイツのプロチームで、日本のように言われたとおりにプレーしていると、もっと自分で考えてプレーしろ!とよく言われた。元日本代表 奥寺康彦

posted by HFC at 10:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記